自動車販売やカスタムショップ勤務を経て、現在はフリーランスのモータージャーナリストとして活動しています。今回のテーマは「テスラの車検」。公式サービスセンター、認定工場、民間整備工場など、それぞれの特徴とメリット・デメリットを整理し、費用や利便性、地方在住者の選択肢まで、経験をもとにわかりやすく解説します。
記事のポイント
- 公式車検はアプリで完結しスマートな体験
- 認定工場は公式レベルの技術力で安心
- 専門工場なら費用を抑えられる可能性あり
- 便利なモバイルサービスは車検に非対応
- 地方在住者は移動コストも考慮して選択
テスラの車検はどこで受ける?公式と民間の違い

- テスラ公式サービスセンターでの車検の流れ
- テスラ認定ボディショップという選択肢
- テスラ車検に対応する専門整備工場の特徴
- 大手カー用品店でのテスラ車検対応状況
- ディーラーと民間工場の車検費用の比較
- モバイルサービスは車検に対応しているのか
テスラを手にして、未来のカーライフが始まった喜びも束の間、「さて、次の車検はどうしようか?」という現実的な疑問が頭をよぎる方は少なくないでしょう。従来のガソリン車とは異なり、どこに頼めば良いのか、費用はどれくらいかかるのか、不安に思うのも当然です。私も初めてテスラをリフトアップして下回りを覗き込んだ時、そのシンプルかつ緻密な構造に感心すると同時に、これを的確に整備できる工場は限られるだろうな、と感じたことを今でも覚えています。
テスラの車検を受ける場所は、大きく分けて「テスラ公式」と「民間工場」の2つに大別できます。それぞれにメリット・デメリットがあり、あなたのライフスタイルや車に対する考え方によって最適な選択は変わってきます。この章では、まずそれぞれの選択肢がどのような特徴を持っているのか、一つひとつ丁寧に紐解いていきましょう。
テスラ公式サービスセンターでの車検の流れ

まず最も確実で安心感が高い選択肢が、テスラの公式サービスセンターです。テスラは従来の自動車メーカーのような「ディーラー網」を持たず、直営のサービスセンターで車両の販売からメンテナンスまでを一貫して行っています。
車検の予約は、すべてテスラの専用スマートフォンアプリから行います。これが非常に画期的で、電話をかけたり店舗に足を運んだりする必要がありません。アプリ上で希望のサービスセンターと日時を選び、車検で気になる点などを入力するだけで予約が完了します。まるでネットショッピングのような手軽さです。
入庫当日は、予約したサービスセンターへ車両を持ち込みます。スタッフが車両の状態を確認し、アプリで承認した作業内容に基づいて点検が開始されます。テスラの車検で特徴的なのは、ソフトウェアで診断できる項目が多い点です。車両の各センサーやバッテリーの状態などは、専門の診断機を通じて詳細にチェックされます。もちろん、ブレーキパッドの残量やタイヤの摩耗、サスペンションの状態といった物理的な点検も、国の定める保安基準に沿って厳格に行われます。
作業の進捗状況もアプリで確認でき、完了すれば通知が届きます。支払いもアプリ経由で完結するため、引き取りもスムーズです。このように、テスラ公式サービスセンターでの車検は、予約から支払いまで一貫してデジタル化されており、テスラならではのスマートな体験ができるのが最大の魅力です。最新のアップデート情報や、テスラ車に特化した知見を持つ専門スタッフによる整備は、何物にも代えがたい安心感を与えてくれるでしょう。
しかし、この完璧に見える公式サービスにも、考慮すべき点があります。それは、サービスの拠点数です。その点については、後ほど詳しく触れていくことにしましょう。
テスラ認定ボディショップという選択肢

公式サービスセンターの次に信頼性が高い選択肢として、「テスラ認定ボディショップ」が挙げられます。これはテスラから正式に認定を受けた板金塗装工場のことで、事故による修理などを主に行っていますが、中には車検に対応している工場も存在します。
認定を受けるためには、テスラが定める厳しい基準をクリアしなければなりません。例えば、アルミボディの修理に対応できる専用の設備やツールを備えていること、そしてテスラ車固有の構造やシステムを熟知した技術者が在籍していることなどが求められます。私が以前勤めていたカスタムショップでも、特定の輸入車ブランドの認定を取るために、工具一式を揃えるだけで数百万の投資が必要になったことがあります。テスラの認定も同様に、相当な覚悟と投資が必要なものなのです。
公式サービスセンターとの大きな違いは、運営母体がテスラ本社ではないという点です。例えば、輸入車の取り扱いで有名なヤナセのネットワークに加盟している工場などが、テスラ認定ボディショップとなっているケースがあります。このため、対応の柔軟性や地域に根差したサービスが期待できるかもしれません。
テスラ認定ボディショップは、公式レベルの技術水準を保ちつつ、公式サービスセンターが近くにない地域のオーナーにとっては非常に心強い存在と言えます。ただし、全ての認定ボディショップが車検に対応しているわけではない点には注意が必要です。あくまでメインはボディの修理であるため、車検の受け入れ可否や、どの範囲までの整備が可能かについては、個別の工場に直接問い合わせて確認する必要があります。
公式の安心感と、民間工場の利便性。その中間に位置するこの選択肢は、あなたの住む地域によっては最適な答えになるかもしれません。では、さらに選択肢を広げ、一般的な整備工場に目を向けてみるとどうでしょうか。
テスラ車検に対応する専門整備工場の特徴
公式や認定工場以外にも、テスラの車検に対応できる民間の専門整備工場は着実に増えつつあります。こうした工場は、特定のメーカーの看板を掲げていない独立系の工場であることが多く、その最大の武器は「技術力への探求心」と「柔軟な対応力」です。
私がカスタムショップで働いていた頃もそうでしたが、新しい技術や珍しい車種が入庫すると、メカニックたちの目は輝きます。テスラのような革新的な車は、まさに彼らの挑戦心をくすぐる存在。積極的に情報を収集し、専用の診断ツールを導入するなど、意欲的な工場は少なくありません。
こうした専門工場の特徴は、オーナーとの距離が近いことです。サービスセンターのようにアプリで完結するスマートさはありませんが、メカニックと直接顔を合わせて、車の状態について詳しく話を聞いたり、今後のメンテナンス計画について相談したりできます。例えば、「ブレーキパッドはまだ使えるけど、次の車検までは持たないかもしれないから、今回交換しておきませんか?」といった、オーナーの乗り方に寄り添った提案が期待できます。
ただし、良い工場を見極めるにはオーナー側にも少し知識が求められます。最低限、確認したいのは「特定整備認証」を取得しているかどうかです。これは、自動ブレーキなどの先進安全装置の整備に必要な認証で、テスラのような車を整備する上での必須条件と言えるでしょう。腕の良い専門工場は、画一的なパッケージ料金ではなく、車の状態に応じて必要な整備だけを行うため、結果的に費用を抑えられる可能性があります。
一方で、テスラ専用の特殊な部品の入手には時間がかかる場合がある、最新のソフトウェアアップデートへの対応が公式に比べて遅れる可能性がある、といったデメリットも存在します。まさに、信頼できる「かかりつけ医」を見つけるような感覚に近いかもしれません。
では、もっと身近な存在である大手カー用品店では、テスラの車検は可能なのでしょうか。その現状を見ていきましょう。
大手カー用品店でのテスラ車検対応状況

「車検といえば近所のカー用品店」と考えている方も多いかもしれません。手軽さや費用の安さで人気の選択肢ですが、テスラに関してはどうでしょうか。結論から言うと、現時点では「一部の特定の店舗を除き、基本的には難しい」というのが実情です。
テスラをはじめとする電気自動車(EV)は、エンジンやオイル類がない代わりに、高電圧バッテリーや専用の制御システムなど、ガソリン車とは全く異なる構造を持っています。このため、EVの整備、特に車検のような保安に関わる重要な点検を行うには、専門の知識と設備、そして「特定整備認証」が不可欠です。
その中で画期的な取り組みとして注目されているのが、オートバックスグループの旗艦店「A PIT AUTOBACS SHINONOME(東雲)」です。この店舗は、テスラモータースジャパンと提携し、敷地内にテスラのサービスセンターを誘致しました。これにより、テスラの純正部品の供給を受け、専門的な知識を持ったスタッフによる車検や法定点検が可能になっています。
しかし、これはあくまで例外的なケースです。多くの一般的なカー用品店では、まだEV、特にテスラの車検に対応できる体制が整っていません。将来的にはEV整備が可能な店舗が増えていくと予想されますが、現時点では「テスラOK」と明記している店舗以外に依頼するのは避けた方が賢明でしょう。もし対応可能と謳っていても、どのレベルまでの整備ができるのか(例えば、専用診断機によるエラーチェックやソフトウェア関連の対応は可能か)を事前に詳しく確認することが重要です。
身近で便利なカー用品店ですが、テスラの車検に関しては、まだ発展途上の選択肢と捉えておくのが現実的です。それでは、これまで見てきた各選択肢について、最も気になる「費用」の観点から比較してみましょう。
ディーラーと民間工場の車検費用の比較
テスラの車検をどこに依頼するか決める上で、費用は最も重要な判断材料の一つです。ここでは「テスラ公式サービスセンター」と「民間の専門整備工場」を中心に、費用の違いがどこで生まれるのかを解説します。
まず、車検費用は大きく分けて「法定費用」と「車検基本料・整備費用」の2つで構成されます。

- 法定費用: 自賠責保険料、自動車重量税、印紙代の3つです。これは国に納める税金や保険料なので、どこで車検を受けても金額は同じです。ただし、テスラのような電気自動車はエコカー減税の対象となるため、初回の車検時および2回目の車検時(モデルや年式による)で自動車重量税が免税または減税されるという大きなメリットがあります。
- 車検基本料・整備費用: これが依頼先によって大きく変わる部分です。点検作業そのものの料金、事務手数料、そして交換が必要になった部品代や工賃が含まれます。
下の表は、一般的な費用感の比較です。あくまで目安としてご覧ください。
| 項目 | テスラ公式サービスセンター | 民間の専門整備工場 |
|---|---|---|
| 車検基本料 | 比較的高め | 比較的安め~高め(工場による) |
| 安心感・信頼性 | 非常に高い(メーカー直営) | 工場の技術力や実績に依存 |
| 部品代 | 純正部品のみ(定価) | 純正部品、OEM品、中古品など選択肢あり |
| 整備内容 | メーカー基準の高品質な整備 | オーナーの要望に応じた柔軟な整備 |
| 総合費用 | 高くなる傾向 | 安く抑えられる可能性あり |
公式サービスセンターは、メーカー推奨の点検項目をすべて実施し、交換部品もすべて純正品を使用するため、品質が保証されている分、費用は高くなる傾向にあります。一方、民間の専門工場では「今回は最低限で通してほしい」「予防整備としてこの部品も交換したい」といったオーナーの要望に柔軟に応えてくれるため、整備内容を相談しながら費用をコントロールしやすいのがメリットです。
私がカスタムショップにいた頃、お客様から「ディーラーの見積もりが高すぎて…」と相談を受けることがよくありました。内容を精査すると、まだ十分に使える部品まで予防交換としてリストアップされているケースも。もちろん安全のためではありますが、どこまで整備するかはオーナーの考え方次第です。費用だけで判断せず、整備内容と安心感のバランスを考えて、自分にとって納得のいく選択をすることが重要です。
さて、テスラにはもう一つ、特徴的なサービスがあります。それは「モバイルサービス」ですが、これは車検にも使えるのでしょうか?
モバイルサービスは車検に対応しているのか

テスラの革新的なサービスの一つに「モバイルサービス」があります。これは、サービス技術者が専用の車両でオーナーの自宅や職場まで来て、その場で修理やメンテナンスを行ってくれるというものです。わざわざサービスセンターに車を持ち込む手間が省けるため、非常に便利なサービスとして多くのオーナーに利用されています。
私も一度、友人のモデル3の簡単な修理に立ち会ったことがありますが、手際よく作業を進める様子は見ていて感心しました。アプリで予約し、指定した場所で待っているだけでサービスが完結するのですから、これまでの自動車メンテナンスの常識を覆す体験と言えるでしょう。
では、この便利なモバイルサービスで車検も受けられるのでしょうか?
残念ながら、答えは「ノー」です。現在のところ、モバイルサービスは車検(法定24ヶ月点検)のような大規模で、国の基準に基づく厳密な検査には対応していません。車検には、車両をリフトで持ち上げて下回りを詳細に点検したり、ブレーキテスターやヘッドライトテスターといった専用の大型設備が必要になったりするため、出張サービスで完結させることは物理的に不可能なのです。
モバイルサービスが対応できるのは、主に以下のような比較的軽微な作業です。
- 簡単な部品交換(ドアハンドル、ワイパーブレードなど)
- ソフトウェアの診断やアップデート
- 異音の点検
- タイヤのローテーション(一部地域)
つまり、モバイルサービスは「車のちょっとした不調を治す往診」のようなものであり、「人間ドック」にあたる車検は、設備が整った「病院(サービスセンターや整備工場)」で行う必要がある、と考えると分かりやすいかもしれません。
車検の際には、モバイルサービスに頼るのではなく、これまで解説してきた公式サービスセンターや専門工場へ車両を持ち込む必要があります。この点をしっかり理解しておくことが重要です。
では、特にサービスセンターが近くにない地方にお住まいの方は、具体的にどう動けば良いのでしょうか。次の章で詳しく見ていきましょう。
地方在住者がテスラの車検をどこで受けるか解説

- 最寄りの公式サービスセンターを探す方法
- オンライン予約可能な整備工場を見つけるコツ
- テスラオーナーの口コミや評判の活用法
- 車検を依頼する前に確認すべきポイント
- 車検期間中の代車の有無と確認事項
- 将来の整備も任せられる工場の選び方
都心部にお住まいであれば、公式サービスセンターへのアクセスも比較的容易ですが、地方となると話は大きく変わってきます。「最寄りのサービスセンターまで、高速道路を使っても数時間かかる…」そんな悩みを抱えているテスラオーナーは、決して少なくありません。私自身、全国のモーターショーや取材で地方を訪れる機会が多いですが、その度にインフラの地域差を痛感します。
しかし、諦める必要は全くありません。地方在住であっても、少しの工夫と情報収集で、満足のいく車検を受けることは十分に可能です。この章では、地方にお住まいのテスラオーナーが、どのようにして最適な車検の依頼先を見つけるか、その具体的なステップとコツを私の経験も交えながら解説していきます。
最寄りの公式サービスセンターを探す方法
まず、基本となるのは公式サービスセンターの場所を正確に把握することです。これが、あなたの車検戦略の出発点となります。探し方は非常に簡単で、テスラの公式ウェブサイトまたはスマートフォンアプリの「サービス」セクションから確認できます。地図上にサービスセンターの場所が表示され、自宅からの距離やルートもすぐに分かります。
ここで重要なのは、単に「一番近い」という理由だけで決めないことです。例えば、片道200kmの距離にあるサービスセンターに車検を依頼する場合を考えてみましょう。往復の移動時間、高速道路料金、そして何よりテスラの充電にかかる時間と費用も考慮しなければなりません。車検自体は1日で終わっても、前後の移動を含めると2日がかりの作業になる可能性もあります。
公式サービスセンターに依頼するかどうかは、その絶対的な安心感と、移動にかかる時間的・金銭的コストを天秤にかけて判断する必要があります。もし、そのコストを許容できるのであれば、メーカー直営の整備を受けられる公式サービスセンターは、やはり最も確実な選択肢であることに変わりはありません。
しかし、もし「さすがにそのコストは厳しい…」と感じたなら、次のステップとして、より身近な選択肢を探すことになります。その具体的な方法を見ていきましょう。
オンライン予約可能な整備工場を見つけるコツ

公式サービスセンターが現実的でない場合、次に探すべきは「お住まいの地域でテスラに対応できる優良な整備工場」です。一昔前なら、タウンページをめくったり、知人の紹介を頼ったりするしかありませんでしたが、今は便利な時代になりました。インターネットを駆使すれば、多くの情報を得ることができます。
最も効率的なのは、メンテモのような自動車整備工場の検索・予約サイトを活用することです。こうしたサイトでは、地域や車種、対応可能な作業内容で工場を絞り込むことができます。検索する際のキーワードが重要で、単に「車検」と入力するだけでなく、「テスラ」「EV」「電気自動車」「特定整備認証」といった言葉を組み合わせて検索すると、より的確な候補が見つかりやすくなります。
工場が見つかったら、その工場のウェブサイトやブログ、SNSなどを必ずチェックしましょう。そこには、工場の「人となり」が現れます。テスラの入庫実績を写真付きで紹介していたり、EV整備に関する情報を発信していたりする工場は、EVへの関心と技術力が高い可能性が高いです。私が工場を選ぶ際も、どんな車を扱っているか、どんな修理をしているかをSNSでチェックして、その工場の得意分野や情熱を推し量るようにしています。
ウェブサイトやSNSでの情報発信は、その工場が新しい技術に対してどれだけ前向きで、顧客とのコミュニケーションを大切にしているかの指標になります。気になる工場をいくつかリストアップし、比較検討することから始めてみてください。
テスラオーナーの口コミや評判の活用法

整備工場のウェブサイトが「公式発表」だとすれば、実際にその工場を利用したオーナーたちの声は、何よりリアルな「生の情報」です。テスラオーナー同士のコミュニティを活用しない手はありません。
具体的には、Facebookのテスラオーナーズクラブのグループや、X(旧Twitter)などのSNSが情報の宝庫です。こうした場所では、「〇〇県でテスラの車検をお願いできる良い工場はありませんか?」といった質問を投げかけると、親切な先輩オーナーから具体的な工場名や担当者の名前、さらには実際に利用した際の感想といった貴重な情報が寄せられることがよくあります。
ただし、口コミ情報を参考にする際には一つ注意点があります。それは、情報を鵜呑みにしないことです。評価はあくまで個人の主観であり、ある人にとっては最高のサービスが、別の人にとっては不満の残る結果になることもあります。例えば、「費用が高かった」という口コミも、整備内容を詳しく見れば、むしろ適正価格だったというケースも少なくありません。
良い口コミだけでなく、ネガティブな意見にも目を通し、なぜそのような評価になったのか背景を推測することで、より多角的に工場を判断することができます。「Aさんは対応の速さを評価しているが、Bさんは説明不足を感じたようだ。自分はどちらを重視するだろうか?」といったように、自分自身の価値基準と照らし合わせながら情報を取捨選択することが、賢い口コミの活用法です。
こうして集めた情報をもとに、いよいよ工場にコンタクトを取ることになりますが、その前にもう一手間かけることが成功の鍵を握ります。
車検を依頼する前に確認すべきポイント
気になる工場をいくつか絞り込んだら、実際に車検を依頼する前に、電話やメールで問い合わせて、いくつかの重要なポイントを確認しましょう。この一手間が、後々の「こんなはずじゃなかった」というトラブルを防ぎ、安心して愛車を預けるための最後の砦となります。
私がジャーナリストとして工場を取材する際にも必ず確認する項目ですが、オーナーの皆さんもぜひ実践してみてください。
- テスラの入庫実績: 「テスラ車の車検や整備の経験はありますか?」とストレートに聞いてみましょう。実績が豊富な工場は、テスラ特有の注意点や構造を熟知しています。
- 特定整備認証の有無: 前述の通り、これは必須条件です。「特定整備認証はお持ちですか?」と確認しましょう。
- 専用診断機の有無: テスラの電子システムを正確に診断できるツールがあるかは非常に重要です。これがなければ、目に見えない不具合を見逃す可能性があります。
- 見積もりの詳細: 「見積もりは、どの項目にいくらかかるか、詳しく教えていただけますか?」と依頼しましょう。一式料金ではなく、部品代と工賃を分けて明記してくれる工場は信頼できます。
- EVに詳しい整備士の在籍: 「電気自動車に詳しい方はいらっしゃいますか?」と尋ねることで、工場の専門性を測ることができます。
これらの質問に対して、面倒くさそうな態度を取ったり、曖昧な返答しかしない工場は、避けた方が無難かもしれません。逆に、一つひとつの質問に丁寧に、そして自信を持って答えてくれる工場は、技術力だけでなく顧客対応の意識も高いと判断できます。この段階でのコミュニケーションが、今後の長い付き合いの第一歩となるのです。
さあ、依頼先が決まったら、あともう一つだけ確認しておきたいことがあります。それは車検中の「足」の問題です。
車検期間中の代車の有無と確認事項

車検には通常、数日間を要します。その間、車が使えないと困るという方は多いでしょう。特に地方では車が生活必需品であるため、代車の有無は死活問題になり得ます。車検を依頼する工場を決める際には、代車サービスについても必ず確認しておきましょう。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- 代車の有無と料金: 代車は無料で借りられるのか、それとも有料なのか。有料の場合は料金体系(1日あたり、または期間中一律など)を確認します。
- 代車の車種: テスラオーナーならではの悩みとして、代車がガソリン車だった場合のギャップが挙げられます。静粛性や加速感に慣れてしまうと、久しぶりのエンジン音や振動に戸惑うかもしれません。もし可能であれば、EVやハイブリッド車の代車がないか尋ねてみるのも良いでしょう。
- 保険の適用範囲: 万が一、代車で事故を起こしてしまった場合の保険がどうなっているかは非常に重要です。対人・対物賠償はもちろん、車両保険の有無や免責金額(自己負担額)まで、詳しく確認しておくことを強くお勧めします。私がディーラーにいた頃も、代車でのトラブルは時々発生しており、保険の確認不足が大きな問題に発展するケースを見てきました。
- 予約の必要性: 代車は数に限りがあるため、希望する場合は車検の予約と同時に代車の予約も済ませておきましょう。
これらの点を事前にクリアにしておけば、車検期間中も余計な心配をすることなく、安心して過ごすことができます。たかが代車、と軽視せず、契約の一部としてしっかり確認する姿勢が大切です。
そして最後に、車検という機会を、未来のカーライフを見据えたパートナー選びの場として捉えてみましょう。
将来の整備も任せられる工場の選び方

車検は2年に一度の義務ですが、あなたのテスラとの付き合いは、その間もずっと続いていきます。突然の警告灯の点灯、ちょっとした異音、あるいは将来的にカスタムを考えたくなった時など、車に関する相談事は車検以外にも発生するものです。
だからこそ、私は「車検をどこで受けるか」という問題を、「これから先、愛車のことを何でも相談できるパートナー(かかりつけ医)をどこにするか」という視点で考えることをお勧めします。
その工場が、今回の車検を丁寧に行ってくれることはもちろん大前提です。それに加えて、以下のような視点も持ってみてはいかがでしょうか。
- コミュニケーションの取りやすさ: 整備士やスタッフが、あなたの質問に親身に耳を傾け、専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれますか?気軽に相談できる雰囲気があるでしょうか。
- 技術的な探求心: 新しい技術や情報に対して常にアンテナを張っている様子が感じられますか?工場の設備や、スタッフの会話の端々から、その姿勢は滲み出るものです。
- 長期的な視点での提案: 今回の車検だけでなく、「次の車検までには、このあたりも見ておいた方が良いかもしれませんね」といった、あなたのカーライフ全体を見据えたアドバイスをくれるでしょうか。
目先の費用だけで選んだ工場が、いざという時に頼りにならなければ、結果的に高くついてしまうこともあります。今回の車検を通じて、整備の品質、スタッフの対応、そして工場の雰囲気を肌で感じ取り、「この人たちになら、これからも安心して愛車を任せられる」と思える工場を見つけること。それが、地方でテスラに乗り続ける上で、最も重要なことなのかもしれません。あなたのカーライフが、素晴らしいパートナーとの出会いによって、より豊かになることを心から願っています。
テスラの車検はどこで受ける?費用と選び方をディーラーと専門工場のまとめ
テスラの車検は、アプリで完結する公式サービスセンターのほか、公式レベルの技術を持つ認定ボディショップ、費用を抑えやすい民間の専門整備工場など複数の選択肢があります。一方で、便利なモバイルサービスは車検に非対応、大手カー用品店での対応もまだ限定的です。地方在住の場合、移動コストも考慮し、オンライン検索や口コミを活用して「特定整備認証」を持つ信頼できる工場を見つけることが重要です。この記事を参考に、ご自身の状況に合った最適な車検の依頼先を見つけ、安心のテスラライフを送りましょう。
よくある質問
テスラの車検はディーラー(公式サービスセンター)でしか受けられないのですか?
いいえ、テスラ直営のサービスセンター以外に、テスラから認定を受けた「認定ボディショップ」や、EV整備に対応している民間の専門工場でも車検を受けることが可能です。工場によって技術力や対応範囲が異なるため、事前の確認が重要です。
テスラ公式サービスセンターの車検予約はどうやってするのですか?
すべてテスラ専用のスマートフォンアプリから行います。電話や店舗訪問は不要で、アプリ上で希望のサービスセンターと日時を選び、気になる点を入力するだけで予約が完了するスマートな仕組みです。
車検費用はガソリン車と比べて高いですか?
一概には言えませんが、テスラはエンジンオイル交換などが不要なため整備費用は抑えられる傾向にあります。また、エコカー減税により自動車重量税が免税または減税されるため、国に納める法定費用も安くなる場合があります。
便利な「モバイルサービス」で車検もお願いできますか?
残念ながら、モバイルサービスは車検には対応していません。車検にはリフトアップや専門の検査機器が必要なため、出張サービスでは実施不可能です。車検の際は、車両をサービスセンターや整備工場へ持ち込む必要があります。
地方在住で、近くに公式サービスセンターがありません。どうすればいいですか?
最寄りのサービスセンターへの移動コストを考慮し、難しい場合は地域でテスラに対応できる専門工場を探しましょう。自動車整備工場の検索サイトや、Facebook、X(旧Twitter)などのテスラオーナーコミュニティで情報を集めるのが有効です。
民間の工場に依頼するのが少し不安です。良い工場を見分けるポイントはありますか?
まず「特定整備認証」を取得しているかを確認しましょう。また、テスラ車の入庫実績や専用診断機の有無、見積もりが明瞭かなどを事前に問い合わせ、質問に丁寧かつ自信をもって答えてくれる工場を選ぶのがおすすめです。
車検の間、代車は借りられますか?
代車の有無や料金は工場によって異なります。車検を予約する際に必ず確認しましょう。また、万が一に備え、代車の保険の適用範囲(対人・対物賠償、車両保険の有無、自己負担額など)もしっかり確認しておくことが重要です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。テスラは車検の受け方ひとつ取っても、ガソリン車とは異なる判断軸が必要です。公式の安心感、民間工場の柔軟さ、それぞれの魅力と注意点を知ることで、あなたのカーライフに最適な選択が見えてきます。私自身、これまで多くの車種や工場を見てきましたが、「信頼できるパートナーを見つけること」が整備の質や満足度を大きく左右します。今回の情報が、安心で快適なテスラライフの一助になれば嬉しいです。機会があれば、EV時代における長期メンテナンス戦略についてもお話ししてみたいと思います。



