記事のポイント
- サービスの説明初期モデルはリコール多発、乗り心地に難あり
- 新開発部品が多く、初期トラブルが集中した
- 直6ディーゼルは唯一無二の滑らかな走行感
- FRの素直な走りと工芸品のようなデザイン
- 年次改良で乗り心地やATの挙動は大幅改善
新型CX-60のやばい問題点をオーナーが本音で語る

Whisk, AI generation ※1
- ボックスのコンテンツ頻発したリコールとサービスキャンペーンの実態
- 初期モデル特有の乗り心地の硬さと突き上げ感
- 8速オートマチックトランスミッションの挙動
- 一部で報告される内装のきしみ音や品質の問題
- ディーゼルモデルの煤に関する懸念と対策
- 競合車と比較した際のコストパフォーマンス評価
マツダが新たな時代の幕開けとして世に送り出した、新型CX-60。待望のFRプラットフォームに、新開発の直列6気筒エンジン。その報を聞いた時、長年この業界に身を置く私も、まるで子供の頃に新しいプラモデルを手に入れた時のような高揚感を覚えたものです。しかし、華々しいデビューの裏で、インターネット上では「CX-60 やばい問題」という、穏やかではない言葉が独り歩きを始めました。
私自身、このCX-60を頻繁にカーシェアし、マイカーのように良い時も悪い時も共にしてきました。だからこそ、一人の自動車好きとして、世間で囁かれる「やばい問題」の真相から目を背けるわけにはいきません。ここでは、美辞麗句を並べるのではなく、実際に私が体験し、見聞きしてきたリアルな情報をお伝えします。なぜなら、本当に良い車とは、その欠点さえも愛せる車のことだと信じているからです。まずは、この車の光と影の「影」の部分から、じっくりと見ていくことにしましょう。
頻発したリコールとサービスキャンペーンの実態

Whisk, AI generation ※1
CX-60の信頼性に疑問符が投げかけられた最大の要因は、デビューから短期間に集中したリコールとサービスキャンペーンでしょう。その数は、オーナーとしては正直なところ「またか」と思ってしまうほどでした。
主な内容を挙げると、走行中にエンジンが停止する恐れがあるという動力伝達装置の不具合、ステアリングが重くなる可能性のあるパワーステアリング制御の問題、そして360°ビューモニターが映らなくなるカメラシステムの不具合など、安全運転に直結する重要なものが含まれていました。
私がディーラーの営業として働いていた頃、リコールのお知らせでお客様のお宅を訪問した際の、あの何とも言えない緊張感を思い出します。車の信頼は、こうした一つ一つの出来事で築かれ、そして一瞬で崩れてしまう非常にデリケートなものなのです。
では、なぜこれほどまでに問題が集中したのでしょうか。最大の理由は、CX-60が「新開発部品の塊」だったからに他なりません。 プラットフォーム、エンジン、トランスミッション、そしてそれらを統合制御する電子システムに至るまで、そのほとんどが完全な新設計でした。意欲的な挑戦であったことは間違いありませんが、それぞれの部品を協調させて動かすためのソフトウェアの熟成が、市場投入のスピードに追いついていなかった。これが、多くの初期トラブルを招いた根本的な原因だと私は分析しています。
しかし、このリコールの多さが、乗り心地という、より感覚的な問題へとユーザーの目を向けさせるきっかけになったのかもしれません。
初期モデル特有の乗り心地の硬さと突き上げ感
CX-60の「やばい問題」を語る上で、避けては通れないのが乗り心地、特に初期モデルのリアサスペンションの硬さです。SNS上では「後席は罰ゲーム」とまで揶揄され、ファミリーユースを考えていた多くのユーザーを悩ませました。
具体的には、路面の継ぎ目や少しの段差を乗り越えるたびに、「ガツン!」という鋭い衝撃が車内に伝わってくるのです。特に後席では、その突き上げ感が顕著で、まるで車体が跳ねるかのような感覚を覚えることもありました。プレミアムSUVに期待される、しなやかで快適な乗り味とは、確かに対極にあるものだったと言えるでしょう。
この硬さの背景には、マツダが理想とする「人馬一体」への、ある種の純粋すぎるこだわりがあります。ハンドリングのダイレクト感を追求するため、サスペンションの付け根には一般的なゴムブッシュではなく、レーシングカーにも使われる高剛性な「ピロボールブッシュ」を多用しました。
カスタムショップで働いていた時、足回りを硬くするのは簡単ですが、乗り心地を損なわずに運動性能を上げるのがどれほど難しいか身に染みています。マツダのエンジニアは、理想の走りのために、快適性をある程度犠牲にしてでもダイレクトな操舵感という茨の道を選んだのでしょう。しかし、その結果として生まれた硬い乗り心地は、多くのドライバーが日常で走行する日本の道路環境とは、残念ながら相性が良くありませんでした。
この乗り心地の問題は、CX-60が搭載したもう一つの新技術、トランスミッションの挙動とも相まって、ドライバーに独特のストレスを与えることになります。
8速オートマチックトランスミッションの挙動
出典:MAZDA
乗り心地と並んで多くのオーナーを悩ませたのが、新開発されたトルコンレス8速オートマチックトランスミッションの挙動です。発進時にガクンと繋がるようなショックがあったり、渋滞路のような極低速域でアクセルを開けたり閉めたりすると、車がギクシャクしてスムーズに走れない、という声が多く聞かれました。
この原因は、その名の通り「トルクコンバーター(トルコン)」を持たない構造にあります。少し専門的になりますが、一般的なATが滑らかな発進のために「流体の力」というクッションを使っているのに対し、CX-60はよりダイレクトなフィーリングを得るために、マニュアル車のような「クラッチ」で動力を断続する方式を採用しました。
この構造は、アクセル操作に対する反応の速さや燃費効率の面で大きなメリットがありますが、その反面、クラッチを繋ぐ制御が非常に繊細で難しくなります。初期モデルではこのクラッチ制御のソフトウェアが十分に熟成されておらず、特にストップ&ゴーを繰り返す日本の交通環境でその未熟さが露呈してしまったのです。
私も初期モデルを試乗した際、駐車場でバックする際の微調整で、思った以上に車が進んでしまいヒヤリとした経験があります。「人馬一体」を目指したはずが、ドライバーの意図と車の動きが一致しない瞬間がある。これは乗り心地以上に、運転そのものの質に関わる根深い問題でした。
乗り心地やミッションの挙動といったハードウェアの問題だけでなく、ユーザーの信頼感を揺るがす別の問題も指摘されていました。
一部で報告される内装のきしみ音や品質の問題
CX-60は、その上質なインテリアも大きな魅力の一つです。しかし、一部のオーナーからは、走行中にダッシュボードやドアの内張り周辺から「カタカタ」「ミシミシ」といった、きしみ音が発生するという報告が上がりました。
プレミアムな空間を標榜するからこそ、こうした僅かな異音も気になってしまうものです。特に静粛性の高い車内では、小さな音が余計に大きく聞こえてしまいます。これは、デザインを優先して採用された硬質な樹脂パーツや、異なる素材同士が組み合わさる部分で、走行中の振動や温度変化による収縮・膨張によって発生することが多い現象です。
ジャーナリストとして世界中の自動車工場を取材する機会がありますが、近年の車はデザインの複雑化や新素材の採用が進み、こうした異音対策はどのメーカーにとっても悩みの種となっています。CX-60の場合も、意欲的なデザインと新しい素材構成ゆえに、量産初期段階での組み立て精度や部品同士の公差管理に、まだ改善の余地があったのかもしれません。
こうした物理的な品質問題に加えて、現代のクリーンディーゼルエンジン特有の懸念も話題に上がりました。
ディーゼルモデルの煤に関する懸念と対策
出典:MAZDA
CX-60の心臓部である直列6気筒ディーゼルエンジンは素晴らしいものですが、一部で「煤(スス)が溜まりやすいのではないか」という懸念の声が聞かれます。これはDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)という、排気ガス中の煤を捕集してクリーンにする装置に関連する話です。
まず理解しておきたいのは、これはCX-60特有の問題ではなく、DPFを装着した現代のクリーンディーゼル車すべてに共通する課題であるということです。DPFは、フィルターに溜まった煤を定期的に高温で燃焼させて除去する「再生」という作業を自動で行います。しかし、この再生にはエンジンを一定時間、ある程度の高温状態で稼働させる必要があります。
ディーラー時代、チョイ乗りばかりのお客様から「エンジンの警告灯が点いた」という相談をよく受けました。話を聞くと、ほとんどがご自宅とスーパーの往復のような短距離走行がメインで、DPFの再生が正常に完了していなかったケースです。もしCX-60のディーゼルモデルを選ぶのであれば、日常的に片道数キロの移動しかしないという使い方には、正直なところ向いていません。
対策は至ってシンプルで、月に1~2回、20~30分程度、高速道路やバイパスなどを一定の速度で走ってあげることです。これだけでDPFの再生は促され、エンジンのコンディションを良好に保つことができます。大排気量ディーゼルの真価は、やはり長距離を走ってこそ発揮されるのです。
さて、ここまで様々な問題点を挙げてきましたが、これらのネガティブな要素を踏まえた上で、この車の価値をどう判断すればよいのでしょうか。競合車との比較でその立ち位置を考えてみましょう。
競合車と比較した際のコストパフォーマンス評価
CX-60の購入を検討する際、多くの方が比較対象として挙げるのが、トヨタのハリアーやレクサスNX、あるいは輸入車のBMW X3やメルセデス・ベンツ GLCといったモデルでしょう。これらの競合車と比較した時、CX-60のコストパフォーマンスはどう評価できるのでしょうか。
まず、価格と搭載技術のバランスを見てみましょう。以下の表は、各車の特徴を大まかに比較したものです。
| 車種 | エンジン形式(代表例) | 駆動方式 | 価格帯(参考) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| マツダ CX-60 (XD-HYBRID) | 3.3L 直6ディーゼル MHEV | FR/AWD | 約500~630万円 | 圧倒的なトルク、FRベースの走り、上質な内外装 |
| トヨタ ハリアー (ハイブリッド) | 2.5L 直4ハイブリッド | FF/AWD | 約410~520万円 | 燃費、静粛性、乗り心地、万人受けするバランス |
| レクサス NX (350h) | 2.5L 直4ハイブリッド | FF/AWD | 約610~740万円 | ブランド力、静粛性、先進装備、リセールバリュー |
| BMW X3 (xDrive20d) | 2.0L 直4ディーゼル | AWD | 約760~800万円 | 走行性能の高さ、ブランドイメージ、駆けぬける歓び |
この表から明らかなように、CX-60は直列6気筒エンジンとFRベースのプラットフォームという、本来であればBMW X3のような700万円超のクラスで採用されるような技術を、ハリアーやNXに近い価格帯で実現しています。スペックだけを見れば、そのコストパフォーマンスはまさに破格です。
しかし、デビュー当初は前述したような乗り心地や品質の問題から、「安かろう悪かろう」という厳しい評価を受けかねない状況でした。つまり、CX-60の価値は、その「中身」である孤高のメカニズムにどれだけ魅力を感じるかにかかっていると言えます。 万人受けする快適性やブランドの安心感を求めるならハリアーやNXが、完成された走りとステータスを求めるならX3が優位に立つでしょう。CX-60は、そのどちらとも違う、独自の価値基準を持つ車なのです。
では、数々の「やばい問題」を乗り越えてでも手に入れたいと思わせる、CX-60の圧倒的な魅力とは一体何なのでしょうか。次の章では、この車の「光」の部分に焦点を当てていきます。
やばい問題を超越する新型CX-60のやばい魅力
出典:MAZDA
- 直列6気筒エンジンがもたらす唯一無二の走行フィール
- FRプラットフォームが生み出す素直なハンドリング性能
- 所有欲を満たす魂動デザインの美しい造形
- 国産車トップクラスの上質なインテリアと質感
- ドライバーに寄り添う最新の安全運転支援システム
- 年次改良による初期問題の改善状況と今後の展望
これまでCX-60が抱えていた数々の課題についてお話ししてきましたが、物語はここで終わりません。むしろ、ここからが本題です。なぜなら、これらの問題を差し引いてもなお、この車には他の何物にも代えがたい、抗いがたい魅力が満ち溢れているからです。その魅力は、もはやポジティブな意味で「やばい」としか表現しようがありません。私が2年間この車を手放さなかった理由も、まさにここにあります。
直列6気筒エンジンがもたらす唯一無二の走行フィール
CX-60の魅力を語る上で、この3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジンの存在を抜きにすることは不可能です。スペック上の数値だけでは伝わらない、官能的なフィーリングがこのエンジンには宿っています。
アクセルペダルに軽く足を乗せた瞬間から、まるで巨大な波に押し出されるかのように、どこまでも滑らかで力強いトルクが溢れ出してきます。それは、一般的な4気筒エンジンのような「頑張って回っている」という印象とは全く異なり、大排気量の巨人が余裕たっぷりに歩を進めるような、絶対的な安心感と高揚感に満ちています。
ジャーナリストとして数々のエンジンを味わってきましたが、この3.3Lディーゼルを初めて体験した時の衝撃は忘れられません。低回転から湧き上がる豊かなトルクと、回転を上げるにつれて「クォーン」と澄んだ音色に変わっていくサウンド。これが500万円台から手に入るという事実に、マツダの狂気にも似た情熱を感じずにはいられませんでした。このエンジンフィールは、もはやダウンサイジングターボや電動モーターでは決して再現できない、多気筒エンジンの「文化遺産」とも言える味わいです。
この素晴らしいエンジンを最大限に活かす舞台装置が、次に紹介するプラットフォームです。
FRプラットフォームが生み出す素直なハンドリング性能
初期モデルの乗り心地の硬さは、この卓越したハンドリング性能とのトレードオフの関係にありました。CX-60は、国産SUVとしては極めて珍しいFR(フロントエンジン・リアドライブ)ベースのプラットフォームを採用しています。これにより、エンジンを車体の中心近くに縦置きでき、理想的な前後重量配分を実現しています。
この恩恵は、ステアリングを握れば誰でもすぐに感じ取ることができるでしょう。例えば、高速道路の緩やかなカーブ。FFベースのSUVだと、どうしても少し外側に膨らもうとするのをステアリングで抑え込むような感覚がありますが、CX-60はまるで軌道の上を走るかのように、何事もなくスッとクリアしていきます。
私が特に感動したのは、ワインディングロードでの身のこなしです。ステアリングを切った分だけ、2トン近い巨体を感じさせずに、素直にスッと鼻先がインを向く。そしてコーナーの出口でアクセルを踏み込めば、後輪が力強く路面を蹴り出し、車体をグイグイと前に押し出してくれるのです。この感覚こそ、FRの醍醐味に他なりません。運転が好きな人間にとって、日々の移動が単なる「作業」ではなく、車との対話を楽しむ「時間」に変わる瞬間です。
この走りの良さは、見る者の心を奪う美しいデザインによって、さらにその価値を高めています。
所有欲を満たす魂動デザインの美しい造形
車の価値は、走っている時だけにあるのではありません。ガレージに停まっている姿を眺める時間、カフェの窓から自分の車が見える瞬間、そうした何気ない日常の中で心を豊かにしてくれるのも、また車の重要な役割です。その点において、CX-60のデザインは満点以上の評価を与えることができます。
FRプラットフォームならではの、長く伸びやかなボンネットと、グッと後方に引かれたキャビンが織りなすプロポーションは、まるで獲物を狙うしなやかな肉食獣のようです。キャラクターラインを極力排し、ボディ側面の豊かな曲面だけで光と影を表現する「魂動デザイン」は、このCX-60で一つの極致に達したと言えるでしょう。
私のガレージにも多くの車が出入りしてきましたが、夜、照明の下でCX-60のボディラインを眺めているだけで、グラス一杯分は余裕で楽しめます。 光の当たり方でシルバーにも純白にも見える「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」の塗装も相まって、その佇まいはまさに「走る工芸品」。このデザインに惚れ込んでしまったら、多少の欠点には目をつぶってしまうほどの魔力が、この車にはあるのです。
そして、その美しいエクステリアに負けないだけの世界観が、ドアを開けた瞬間に広がっています。
国産車トップクラスの上質なインテリアと質感
出典:MAZDA
CX-60のドアを開け、運転席に乗り込んだ瞬間に感じるのは、派手さとは無縁の、しかし圧倒的に上質な空気感です。特に、私が選んだ「Premium Modern」グレードでは、白いナッパレザー、織りの表情が豊かなファブリック、そして本物のメイプルウッドが大胆に、かつ調和をもって配置されています。
カスタムショップで何台もの超高級車の内装を手がけてきましたが、彼らが大切にするのは「本物の素材を、その素材らしく使う」ことです。CX-60の内装には、それと同じ哲学が、日本の美意識というフィルターを通して見事に表現されています。ダッシュボードに施された「かけ縫い」という技法を用いたステッチは、単なる装飾ではなく、素材の組み合わせを美しく見せるための必然的なデザインです。
触れるたびに心地よい本杢パネルの冷たさや、ナッパレザーの滑らかな感触は、ドライバーの五感を静かに刺激し、運転への集中力を高めてくれます。 これは、単に高価な素材を並べただけのインテリアとは一線を画す、マツダならではの世界観。この空間に身を置きたくて、ついつい無駄なドライブに出かけてしまうほどです。
この心地よい空間は、ドライバーを優しくサポートする最新の技術によって、さらにその価値を高めます。
ドライバーに寄り添う最新の安全運転支援システム
出典:MAZDA
CX-60には、マツダの最新安全思想「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」に基づいた運転支援システムが搭載されています。もちろん、全車速追従機能付きのクルーズコントロールや、レーンキープアシストといった基本的な機能は網羅されています。
私が特に評価したいのは、その制御の巧みさです。高速巡航時のレーンキープは非常に自然で、車が勝手に動いているという違和感が少なく、あくまでドライバーの操作をさりげなく補助してくれる感覚です。これは、「ドライバーが主役」というマツダの哲学が、安全装備の考え方にも貫かれている証拠でしょう。
さらにユニークなのが、ドライバーの体格や好みを記憶し、シートポジションやミラーの角度などを自動で調整してくれる「ドライバー・パーソナライゼーション・システム」です。これには、運転中のわき見や居眠りを検知して警告する機能も含まれています。これは単なる快適装備ではなく、車が常にドライバーの状態を理解し、見守ってくれているという、新しい時代の「人馬一体」の形なのかもしれません。
さて、ここまでCX-60の「やばい問題」と「やばい魅力」の両面を語ってきました。最後に、これらの問題が現在どうなっているのか、そしてこの車の未来について触れておきましょう。
出典:MAZDA
年次改良による初期問題の改善状況と今後の展望
デビュー当初、多くの課題を抱えていたCX-60ですが、マツダはその批判に真摯に耳を傾け、驚くべきスピードで改善を重ねてきました。これは、私が長年この業界を見てきた中でも、異例の対応と言えます。
最大の懸案事項であった乗り心地については、2023年9月以降に生産されたモデルで大幅な改良が施されました。具体的には、リアサスペンションのダンパーの特性が見直され、路面からの衝撃をしなやかにいなすセッティングに変更。さらに一部グレードでは、乗り心地の改善を最優先し、リアのスタビライザーを廃止するという大胆な決断も下されました。
また、8速ATのギクシャク感についても、継続的なソフトウェアのアップデートによって制御プログラムが熟成され、発進時や変速時のスムーズさは見違えるほど向上しています。これらの改良により、現在のCX-60は、初期モデルとはもはや「別の車」と言っても過言ではないほど、完成度が高まっています。
もしあなたが今、中古のCX-60を検討しているのであれば、この「2023年9月以降の改良後モデル」を強くお勧めします。マツダは、産みの苦しみを経て、ユーザーと共にこの車を育て上げてきました。その経験は、間違いなく今後のラージ商品群、そして未来のマツダ車すべてに活かされていくはずです。この挑戦的で、不器用で、しかし最高に魅力的な一台が、あなたのカーライフを忘れられないものにしてくれる可能性は、今、かつてなく高まっているのです。
まとめ:新型CX-60のやばい問題と最高の魅力
マツダ新型CX-60は、デビュー当初リコールや硬い乗り心地、ATのギクシャク感など「やばい問題」を抱えていました。しかし、それらは新開発メカニズムゆえの産みの苦しみでした。唯一無二の直列6気筒エンジンの滑らかな加速、FRプラットフォームが生む素直な走り、工芸品のような内外装デザインは、それらの欠点を補って余りある魅力です。さらに、年次改良で初期の問題は大幅に改善され、現在のCX-60は完成度が格段に向上しています。独自の価値を持つこの一台の真価を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
よくある質問
新型CX-60の「やばい問題」って具体的に何ですか?
主にデビュー初期のモデルで報告された、①頻発したリコール、②硬すぎるリアサスペンションの乗り心地、③トルコンレス8速ATのギクシャクした挙動、④一部の内装のきしみ音などが挙げられます。
なぜそんなに初期トラブルが多かったのですか?
プラットフォーム、エンジン、トランスミッションなど、主要部品のほとんどが新開発だったためです。特にそれらを統合制御するソフトウェアの熟成が、市場投入のスピードに追いついていなかったことが大きな原因と考えられます。
乗り心地が「罰ゲーム」と言われるほど硬いって本当ですか?
はい、特に2023年9月以前の初期モデルでは、後席の突き上げ感が非常に強いという評価が多くありました。これはダイレクトな操縦性を追求した結果ですが、その後の年次改良で大幅に改善されています。
今CX-60を買っても、同じ問題がありますか?
いいえ、現在販売されている新車や2023年9月以降の改良後モデルでは、乗り心地やATの制御が大幅に改善されており、初期モデルとは別物と言えるほど完成度が高まっています。中古車を狙うなら改良後モデルが断然おすすめです。
ディーゼルモデルは「チョイ乗り」には向かないって本当ですか?
はい、本当です。排ガスを浄化するDPFが正常に機能するためには、定期的にエンジンを高温にする必要があります。スーパーへの買い物など短距離走行ばかりだと煤が溜まりやすいため、月に1〜2回は30分程度の連続走行をすることが推奨されます。
CX-60の一番の魅力は何ですか?
なんと言っても、3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンがもたらす、滑らかで力強い走行フィールです。FRプラットフォームによる素直なハンドリングや、魂動デザインによる美しい内外装も、他の国産SUVにはない大きな魅力です。
ハリアーやレクサスNXと比べてどうですか?
快適性や静粛性、万人受けするバランスを求めるならハリアーやNXに分があります。一方、CX-60は直列6気筒エンジンとFRという、より高価格帯の輸入車のようなメカニズムを搭載しており、運転の楽しさや所有する喜びを重視する方に刺さる、独自の価値を持った車です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。新型CX-60の“やばい問題”は、初期モデルならではの課題と、新機構への挑戦が生んだ産みの苦しみでもありました。私自身、実車試乗や開発陣への取材、オーナーからのヒアリングを通して、その光と影を多角的に見てきました。欠点を把握しつつも魅力を感じるかどうかは、読者の皆さんの価値観次第です。機会があれば、改良後モデルの長距離レビューや、ライバルSUVとの比較検証もお届けしたいと考えています。


