記事のポイント
- 新車価格の差は約50万円、中古車にも反映
- アドバンスは3眼LEDヘッドランプが標準装備
- 内装はシート素材や快適装備に大きな差
- 予防安全装備の有無がグレード選択の鍵
- リセールバリューはアドバンスが高い傾向
「いつかはクラウン」という言葉は、もはや過去のものかもしれません。しかし、その言葉が生まれた背景にある、人々がクラウンに抱いてきた憧れや信頼は、今もなお色褪せることはありません。特に、スポーティな走りと伝統の高級感を融合させた220系クラウンの「RS」グレードは、多くのドライバーの心を捉えて離さない魅力を持っています。
ディーラーの営業として働いていた頃、そして今はカスタムショップを経てモータージャーナリストとして活動する中で、お客様や読者の方から最も多く寄せられる質問の一つが、これでした。
「クラウンのRSとRSアドバンス、一体何が違って、自分にはどっちが合っているんだろう?」
カタログを眺めれば、確かに装備の違いはわかります。しかし、その装備一つひとつが、実際のカーライフにどのような彩りを与え、所有する日々の満足度をどう変えるのか。その核心に触れる情報は、なかなか見つからないのではないでしょうか。
この記事では、単なるスペックの羅列に留まらず、私がこれまでに培ってきた経験と、一台のクルマを愛する者としての視点を交えながら、「RS」と「RSアドバンス」という、似ているようで全く異なる個性を持つ二つのグレードの違いを、あらゆる角度から徹底的に掘り下げていきます。
あなたがクラウンのステアリングを握る未来を想像しながら、この記事を読み終える頃には、きっと「これこそが自分のためのクラウンだ」と確信できる一台に辿り着いているはずです。さあ、一緒にその答えを見つける旅に出かけましょう。
クラウンRSとRSアドバンスの違いをスペックから徹底比較

- エクステリアデザインにおける具体的な相違点
- インテリアの質感と素材で見る違い
- 基本的なパワートレインと走行性能の比較
- 新車時の車両本体価格とその価格差
- カタログ燃費と実燃費の数値比較
- ボディサイズと最小回転半径の差
- 標準装備されるホイールとタイヤの仕様
- 中古車市場における価格相場の違い
まずは基本に立ち返り、両グレードのカタログスペック上の違いを一つひとつ丁寧に見ていくことにしましょう。数字や言葉の定義だけでは見えてこない「差」の意味を、私の視点から解説していきます。この比較が、あなたのグレード選びの確かな土台となるはずです。
エクステリアデザインにおける具体的な相違点
車選びにおいて、第一印象を決定づけるエクステリアは極めて重要な要素です。RSとRSアドバンスは、どちらもRS専用のスポーティなエアロパーツを纏っていますが、細部にこそ「格」の違いが表れます。
最も分かりやすい違いは、フロントマスクの表情を決定づけるヘッドランプでしょう。RSアドバンスには、Bi-Beam LEDヘッドランプが片側3眼となる「3眼フルLEDヘッドランプ」が標準装備されます。これは夜間の視認性を高めるだけでなく、より精悍で知的な印象を与えます。さらに、流れるように点灯する「LEDシーケンシャルターンランプ」も備わり、右左折時の姿は見る者を魅了するほどの先進性と高級感を演出します。対して、標準のRSは1眼のBi-Beam LEDヘッドランプです。もちろんこれでも十分な性能ですが、並べてみるとその存在感の差は明らかです。
カスタムショップにいた頃、RSのオーナー様から「アドバンスの3眼ヘッドランプに交換したい」というご相談を数多く受けました。しかし、これは後付けすると非常に高額になるため、新車選びの段階で考慮すべき最重要ポイントの一つと言えるでしょう。
このヘッドランプの違いは、単なる見た目だけでなく、夜のドライブでの安心感や、所有する満足感に直結する部分なのです。あなたは、愛車の顔にどのような表情を求めますか?その答えが、グレード選びの第一歩になるかもしれません。
インテリアの質感と素材で見る違い
一日のうち、多くの時間を過ごすことになるインテリア。その質感は、ドライブの質そのものを左右すると言っても過言ではありません。ドアを開け、シートに身を沈めた瞬間に感じる「違い」を見ていきましょう。
最大の違いはシート素材にあります。RSがスポーティなファブリックシートを標準とするのに対し、RSアドバンスでは「ブランノーブ+合成皮革」のコンビシートが採用されます。ブランノーブはスエード調の人工皮革で、滑りにくく身体をしっかりホールドしてくれる機能性と、しっとりとした上質な手触りを両立した素材です。この質感の差は、視覚的にも触覚的にも、明らかにRSアドバンスが上質であると感じさせます。
さらに、RSアドバンスには「パワーイージーアクセスシステム」が標準で備わります。これは、エンジンオフでドアを開けると運転席が後方にスライドし、乗り込むと元のドライビングポジションに戻る機能です。些細なことに思えるかもしれませんが、この一連の流れるような動作は、毎日の乗り降りを非常にスマートで快適なものに変えてくれます。まさに高級車ならではの「おもてなし」を実感できる瞬間です。
細かな加飾にも違いはあり、RSアドバンスの方がより質感を高める工夫が随所に見られます。走りの本質は同じでも、ドライバーを包み込む空間の心地よさは、確実にワンランク上の世界が広がっています。毎日触れる場所だからこそ、この差は想像以上に大きいのです。では、目に見えない部分、走りのフィーリングには違いがあるのでしょうか。
基本的なパワートレインと走行性能の比較

車の心臓部であるパワートレイン。ここに違いはあるのでしょうか。結論から言うと、2.5Lハイブリッドモデルの場合、エンジン、モーター、そしてTNGA思想に基づいて開発された優れたシャシーといった、基本的な走行性能を司るハードウェアは、RSとRSアドバンスで全く同じです。
どちらを選んでも、アクセルを踏み込んだ際の静かで力強い加速、そしてFRセダンならではの素直なハンドリングといった、220系クラウンRSが持つ走りの真髄を存分に味わうことができます。私も幾度となく試乗しましたが、その意のままに操れる感覚は、まさに「人馬一体」という言葉がしっくりくる仕上がりです。
ただし、一点だけ走りの「味付け」に関わる違いがあります。それはドライブモードセレクトです。RSアドバンスでは、通常のモードに加えて、よりシャープな走りを引き出す「SPORT S+」モードが選択可能です。このモードでは、アクセルレスポンスやステアリングフィールがさらに鋭敏になり、サスペンション(AVS)も引き締められ、ワインディングロードを駆け抜ける喜びを増幅させてくれます。
つまり、基本性能は同じでも、RSアドバンスはドライバーの気分に応じて、より刺激的な一面を引き出すことができるのです。日常の快適な移動から、週末のスポーティなドライブまで、一台でより幅広いキャラクターを楽しみたいのであれば、この「SPORT S+」の存在は大きな魅力となるでしょう。
走りの基本が同じだと分かったところで、次に気になるのは、やはり価格ですよね。
新車時の車両本体価格とその価格差
ディーラーでお客様と商談していると、最終的に誰もが直面するのが価格の問題です。RSとRSアドバンス(2.5Lハイブリッド・2WD)の新車時車両本体価格を比較すると、その差はおおよそ50万円ほど。RSが約510万円からであるのに対し、RSアドバンスは約560万円からという設定でした。
「50万円」という金額は、決して小さなものではありません。この価格差をどう捉えるかが、グレード選びの核心となります。
ある人は、「50万円あれば、好きなデザインの社外ホイールやエアロパーツを組んで、自分だけの一台に仕上げられる」と考えるかもしれません。これはカスタム好きにとっては非常に魅力的な選択肢です。
一方で、別の人は「3眼ヘッドランプやBSM、シートベンチレーションといったメーカーオプションは後付けできないか、非常に高価。50万円でこれらの先進装備と快適性が手に入るなら、むしろ割安だ」と考えるでしょう。
どちらの考え方も正解です。重要なのは、あなたが車のどこに価値を見出すか。見た目のカスタマイズか、日々の快適性と安全性か。この50万円の差が、後ほど詳しく解説する装備の違いに見合うものなのか、じっくりと考えてみてください。この価格差は、中古車市場にも影響を与えているのでしょうか。
カタログ燃費と実燃費の数値比較
維持費を考える上で、燃費は無視できないポイントです。クラウンRSとRSアドバンスの2.5Lハイブリッドモデルに関して言えば、WLTCモードでのカタログ燃費は20.0km/L(2WD車)と、両グレードで全く同じ数値となっています。
これは、前述の通りパワートレインが共通であるため、当然の結果と言えるでしょう。そのため、どちらのグレードを選んでも、燃費性能を理由に維持費が大きく変わることはありません。クラウンという車格を考えれば、非常に優れた燃費性能であり、経済的なメリットは大きいと言えます。
ただし、これはあくまでカタログ上の数値です。実際の燃費、いわゆる「実燃費」は、ドライバーの運転スタイルに大きく左右されます。例えば、RSアドバンスに搭載されている「SPORT S+」モードを多用すれば、アクセルレスポンスが鋭くなる分、燃費は若干悪化する傾向にあります。逆に、「ECO」モードを積極的に使えば、カタログ値に近い数値を出すことも難しくありません。
結局のところ、燃費は乗り方次第。グレードによる差は気にする必要はなく、クラウンRSの優れたハイブリッドシステムがもたらす経済性は、どちらを選んでも享受できると考えて良いでしょう。
ボディサイズと最小回転半径の差
「アドバンスの方が上級グレードだから、少し大きかったりするのでは?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、クラウンRSとRSアドバンスのボディサイズは、全長4,910mm × 全幅1,800mm × 全高1,455mmと、完全に同一です。また、駐車場での取り回しやUターン時の小回り性能を示す最小回転半径も、5.3mで違いはありません。
日本の道路事情をよく考えられた全幅1,800mmというサイズは、都市部の狭い道や駐車場でも扱いやすく、歴代クラウンが支持されてきた理由の一つでもあります。ディーラー時代も、この絶妙なサイズ感を評価されるお客様は本当に多くいらっしゃいました。
したがって、運転のしやすさや車庫入れの感覚といった、日常的な取り回しにおいて、両グレード間に差は全くないと言えます。どちらを選んでも、クラウンならではの運転のしやすさは変わりませんので、この点は安心していただいて大丈夫です。
では、足元を飾るホイールやタイヤに違いはあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
標準装備されるホイールとタイヤの仕様

足元は車の個性を大きく左右するポイントです。RSとRSアドバンスでは、どちらも18インチのアルミホイールが標準装備となりますが、そのデザインと仕上げが異なります。
RSには、切削光輝とダークグレーメタリック塗装が施された、スポークが力強く伸びるデザインのホイールが装着されます。これはこれで非常にスポーティで格好良いものです。
一方、RSアドバンスには、スパッタリング塗装が施された、より複雑で立体的なデザインのホイールが与えられます。スパッタリング塗装は、メッキのような金属光沢と深みを持ちながら、より落ち着いた輝きを放つのが特徴で、高級感を一層引き立てます。このホイールデザインだけで「アドバンスだ」と見分けることができるほど、象徴的な違いと言えるでしょう。
私自身、カスタムショップで数々のホイールを見てきましたが、RSアドバンスの純正ホイールは非常にデザイン性が高く、社外品に交換するのがもったいないと感じるほどの完成度です。
タイヤサイズは両グレードともに225/45R18で共通ですが、装着されるタイヤの銘柄が製造時期によって異なる場合があります。とはいえ、どちらも静粛性や乗り心地に配慮されたタイヤが選ばれているため、大きな性能差を感じることはないでしょう。
重要なのは、あなたがどちらのホイールデザインを好むか。もしRSのデザインが好みで、浮いた予算でさらに個性的な社外ホイールへの交換を考えているならRSを。RSアドバンスの洗練された純正ホイールのデザインに魅力を感じるなら、迷わずアドバンスを選ぶ価値があります。この選択は、中古車としての価値にも影響してくるのです。
中古車市場における価格相場の違い
新車だけでなく、中古車での購入を検討されている方にとって、市場での価格差は最も気になるところでしょう。
結論から言うと、クラウンRSとRSアドバンスの中古車価格には、新車時の価格差(約50万円)に近い差額が維持されているケースが多く見られます。年式や走行距離が同程度の車両で比較すると、やはりRSアドバンスの方が数十万円高い価格で取引されるのが一般的です。
これは、中古車市場においてもRSアドバンスの需要が非常に高いことを示しています。購入を希望する多くの人が、どうせなら装備が充実した上級グレードを、と考えるためです。特に、後付けが難しい3眼ヘッドランプやブラインドスポットモニター、シートベンチレーションといった装備の有無は、査定額にも明確に反映されます。
つまり、購入時にRSアドバンスを少し高く買ったとしても、売却する際にもその価値が認められ、高く売れる可能性が高いのです。これを「リセールバリューが高い」と言います。
逆にRSを選ぶメリットは、より手頃な価格でクラウンRSの優れた走りを手に入れられる点です。そして、浮いた予算を自分好みのカスタムに充てるという楽しみ方もできます。どちらがお得かは一概には言えず、あなたが車に求める価値観によって変わってきます。
さて、スペック上の違いを見てきましたが、ここからは、その差がもたらす「価値」について、さらに深く掘り下げていきましょう。
クラウンRSとRSアドバンスの違いを装備と価値で深掘り- RSアドバンスのみに標準装備される機能

- 先進安全装備トヨタセーフティセンスの差
- 快適性を向上させる専用装備の詳細
- 前期型と後期型における改良点の比較
- Gグレードなど他グレードとの比較検討
- ユーザーに人気の高いグレードランキング
- 将来的なリセールバリューの期待値
- 結論としてどちらのグレードがおすすめか
スペック表を眺めるだけでは、その装備が持つ本当の意味や価値は伝わりにくいものです。ここでは、RSアドバンスに標準装備される機能が、あなたのカーライフをどのように豊かにしてくれるのか、具体的なシーンを思い浮かべながら解説していきます。この差こそが、あなたがどちらのグレードを選ぶべきかの決定的な答えを導き出す鍵となるでしょう。
RSアドバンスのみに標準装備される機能
RSとRSアドバンスの価格差、約50万円。その大部分は、RSアドバンスに標準装備され、RSではオプション設定、あるいは選択すらできない魅力的な機能にあります。具体的にどのような装備があるのか、以下の表で整理してみましょう。
クラウンRSとRSアドバンスの主要装備比較
| 装備 | RS | RSアドバンス | この装備がもたらす価値 |
|---|---|---|---|
| 3眼フルLEDヘッドランプ | オプション | 標準装備 | 夜間の圧倒的な存在感と視認性の向上 |
| LEDシーケンシャルターンランプ | オプション | 標準装備 | 先進的で高級感あふれるウインカー動作 |
| ブラインドスポットモニター(BSM) | オプション | 標準装備 | 車線変更時の死角をカバーし、事故を未然に防ぐ |
| リヤクロストラフィックオートブレーキ | オプション | 標準装備 | 駐車場での後退時に、左右からの接近車両を検知・ブレーキ支援 |
| シートベンチレーション(前席) | オプション | 標準装備 | 夏場のシートの蒸れを解消し、快適なドライブを実現 |
| パワーイージーアクセスシステム | 設定なし | 標準装備 | スマートでエレガントな乗り降りを演出する「おもてなし」機能 |
| 18インチアルミホイール(スパッタリング塗装) | 設定なし | 標準装備 | より洗練され、高級感のある足元のスタイリング |
この表を見ると、RSアドバンスの価値は、単なる装備の数の多さではないことが分かります。一つひとつの装備が、安全性、快適性、そして所有する喜びを、具体的な形で高めてくれるのです。
例えば、ブラインドスポットモニターは、雨の日の夜、視界が悪い高速道路での車線変更で、ミラーの死角にいる車を知らせてくれます。この「ある」と「ない」とでは、精神的な余裕が全く違ってくることを、多くのドライバーが経験しているはずです。
これらの装備をRSにオプションで追加していくと、価格差はあっという間に縮まってしまいます。そう考えると、RSアドバンスの価格設定は、実は非常に戦略的で「お得」とも言えるのです。では、特に重要な安全装備について、もう少し詳しく見てみましょう。
先進安全装備トヨタセーフティセンスの差

今や車の安全性能は、誰もが重視する時代です。クラウンには、衝突被害軽減ブレーキ(プリクラッシュセーフティ)やレーダークルーズコントロールなどを含む先進安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が全車に標準装備されています。この点では、RSとRSアドバンスに差はありません。
しかし、安全の価値はそれだけではありません。本当の違いは、「事故が起こりそうになってから」ではなく、「事故が起こるのを未然に防ぐ」予防安全の領域にあります。
RSアドバンスに標準装備される「ブラインドスポットモニター(BSM)」と「リヤクロストラフィックオートブレーキ」は、まさにその代表格です。BSMは、隣の車線を走る、ドアミラーでは死角になりやすい後方からの接近車両を検知し、ミラー内のインジケーターで知らせてくれます。高速道路でのヒヤリとする瞬間を、確実に減らしてくれる心強い味方です。
リヤクロストラフィックオートブレーキは、ショッピングモールの駐車場などでバックで出庫する際に、左右から近づいてくる車や歩行者を検知し、警告音と自動ブレーキで衝突の危険を回避してくれます。見通しの悪い場所では、もはや必須とも言える装備でしょう。
これらの機能は、RSではオプション設定です。もし中古車でRSを探す場合、この安全装備が付いているかどうかは必ず確認すべき重要なポイントとなります。安全は、何物にも代えがたい価値。その価値を標準で手に入れられるのが、RSアドバンスなのです。安全の次は、日々の運転を豊かにする快適装備に目を向けてみましょう。
快適性を向上させる専用装備の詳細
RSアドバンスが提供するのは、安全性だけではありません。ドライバーと同乗者を「おもてなし」する、上質な快適装備の数々も大きな魅力です。
その筆頭が「シートベンチレーション」です。これはシートの座面と背もたれから涼しい風が出る機能で、特に夏のドライブでは絶大な効果を発揮します。ディーラー時代、本革シートを希望されるお客様から「夏は蒸れて不快じゃないか」という懸念をよく伺いましたが、この機能があればその心配は一気に解消されます。汗ばむ季節でも、スーツの背中が湿ることなく、爽やかな気分で目的地に到着できる。この快適さは、一度味わうと手放せなくなります。
そして、先ほども触れた「パワーイージーアクセスシステム」。車から降りる際にはシートとステアリングが乗り降りしやすい位置へ自動で移動し、乗り込むと設定したポジションへ復帰します。これは単なる便利機能ではなく、毎回クラウンに乗るという行為を、特別な体験へと昇華させてくれる演出装置のようなものです。
他にも、車内の空気を清浄に保つ「ナノイーX」や、より上質な内装加飾など、カタログでは目立たない細かな装備の積み重ねが、RSアドバンスの心地よい空間を創り出しています。走りの性能だけでなく、移動時間そのものの質を重視する方にこそ、この価値が響くのではないでしょうか。こうした違いは、モデルの年式によっても変化してきました。
前期型と後期型における改良点の比較
220系クラウンは、2020年11月にマイナーチェンジが行われ、前期型と後期型が存在します。中古車を選ぶ際には、この違いを理解しておくことが非常に重要です。
最も大きな変更点は、インテリアのセンターコンソールです。前期型は上下2段のダブルディスプレイを採用していましたが、後期型ではこれを廃止し、大型の12.3インチTFTタッチワイドディスプレイに一本化されました。これにより、ナビ画面の視認性が格段に向上し、見た目もよりモダンでスッキリとした印象になっています。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応し、スマートフォンの連携機能が大幅に強化されたのも嬉しいポイントです。
エクステリアでは、後期型はサイドモールのメッキがより上質なものに変更されたり、テールランプ内部のメッキがスモーク調になったりと、細かな部分で質感が向上しています。
私が特に注目するのは、後期型でステアリングスイッチの加飾がメッキに変更された点です。毎日触れる部分だからこそ、こうした細やかな改良が満足度を大きく左右します。
前期型は価格がこなれてきているという魅力がありますが、ナビゲーションシステムの使い勝手やスマホ連携を重視するなら、少し予算を上乗せしてでも後期型を選ぶ価値は十分にある、と私は考えます。この前期・後期の違いは、RS・RSアドバンスどちらを選ぶにしても共通の判断基準となります。
では、クラウンにはRS以外にも魅力的なグレードがあります。それらとはどう違うのでしょうか。
Gグレードなど他グレードとの比較検討
クラウンの購入を考えるとき、スポーティな「RS」系と、より伝統的な高級感を重視した「G」系で迷う方も少なくありません。この二つは、同じクラウンという名前でありながら、目指す方向性がはっきりと異なります。
一言で言うなら、RSは「ドライバーズカー」、Gは「パッセンジャーカー」としての性格が強いと言えるでしょう。
RSが専用のエアロパーツや引き締められたサスペンションで「走る楽しさ」を追求しているのに対し、Gはより落ち着いたエクステリアと、しなやかで乗り心地を重視した足回りが特徴です。特に後席に大切な人を乗せる機会が多いのであれば、Gグレードの静粛性や快適性は大きな魅力となります。
ディーラーにいた頃、「家族のためにクラウンを選びたいが、自分自身も運転を楽しみたい」というお客様には、RSアドバンスをおすすめすることが多くありました。RSアドバンスであれば、スポーティな走りを楽しみつつ、シートベンチレーションなどの快適装備で同乗者へのおもてなしもできるからです。
逆に、あくまでフォーマルな佇まいと、どこまでも快適な移動空間を最優先するならGグレードが最適です。あなたのライフスタイルや、誰と、どのようにクラウンと付き合っていきたいかを想像することが、最適なグレード選びに繋がります。
ユーザーに人気の高いグレードランキング
では、実際に市場ではどのグレードが最も多くの人に選ばれているのでしょうか。正確な販売データは公表されていませんが、中古車市場の流通量やディーラーでの肌感覚から言うと、人気ランキングは以下のようになると考えられます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。クラウンRSとRSアドバンスの選択は、単なる装備差の比較ではなく、「どんな時間をこの車と過ごしたいか」という問いに向き合う機会でもあります。走りを味わうか、快適性を求めるか、その選択には、あなた自身のカーライフ観が映し出されます。この記事が、その判断の一助となれば幸いです。今後も、愛車選びに役立つ実践的な視点をお届けしていきたいと思います。



