記事のポイント
- 安い理由は初期ロットの課題や供給過多
- 狙い目はソフトウェア更新済みの改良個体
- 走りと経済性ならXDハイブリッドが最適
- 安心重視ならメーカー認定中古車がおすすめ
- 試乗と整備記録簿の確認で後悔を回避
街中で見かける、あの存在感のあるマツダCX-60。流麗でありながら力強いデザインは、思わず目で追ってしまいますよね。新車ではプレミアムな価格帯で少し手が届きにくいと感じていた方も、中古車検索サイトを覗いて「あれ?意外と安い…?」と驚いた経験はありませんか。そして同時に、「何か理由があるのでは?買ってから後悔しないだろうか」という不安がよぎるのではないでしょうか。
私も発表当時は、マツダが満を持して投入したFRプラットフォームと直列6気筒エンジンという、ロマンあふれる構成に胸を躍らせた一人です。しかし、まさかこれほど早く中古市場で現実的な選択肢になるとは、正直なところ予想していませんでした。この価格には、もちろん理由があります。
この記事では、私が自動車ディーラーの営業マンとしてお客様の声を聞き、カスタムショップでマニアックな要望に応え、そしてモータージャーナリストとして数々の車を乗り比べてきた30年以上の経験から、CX-60の中古車がなぜ安いのか、その理由を一つひとつ丁寧に紐解いていきます。
さらに、ただ安い理由を解説するだけではありません。その理由を理解した上で、どうすれば「最高の買い物」ができるのか。後悔しないための、本当に賢い個体の見つけ方まで、私の知見を余すところなくお伝えします。この記事を読み終える頃には、あなたのCX-60に対する不安は確信に変わり、最高の相棒を見つけ出すための具体的な一歩を踏み出せるはずです。
CX-60の中古が驚くほど安い理由を徹底分析
出典:MAZDA
- 初期ロットの乗り心地やトランスミッションの課題
- 複数回のリコール情報が与えた市場への影響
- 新車供給の安定化による中古市場での価格下落
- 大排気量ディーゼルに対する維持費への懸念
- プレミアム価格帯ゆえの大きな値下がり幅
- 競合SUVの多様化による相対的な需要の変化
まず、皆さんが最も気になっているであろう「なぜ安いのか?」という疑問に、正面から切り込んでいきましょう。CX-60の中古車価格を形成している要因は一つではありません。デビュー当時の評価から市場の原理まで、複数の要素が複雑に絡み合っています。ここでは、その主な理由を6つの視点から徹底的に分析します。
初期ロットの乗り心地やトランスミッションの課題

CX-60が市場に登場した当初、多くの自動車評論家やアーリーアダプターから指摘されたのが、乗り心地と新開発トランスミッションの挙動でした。特に、サスペンションのセッティングが硬質であったことが挙げられます。
私自身、デビュー直後に試乗した際の第一印象は「なるほど、これは欧州のプレミアムブランドが持つ、あの引き締まった乗り味を目指したんだな」というものでした。高速道路でのレーンチェンジなどでは、その硬さが功を奏し、車体の揺れが少なく、非常に安定した走りを見せてくれます。まさに意のままに操れる感覚で、走り好きにはたまらないセッティングだと感じたものです。
しかし一方で、市街地の荒れた路面やマンホールの蓋を乗り越える際には、その硬さがゴツゴツとした突き上げ感として伝わってくる場面もありました。日本の道路環境、特にストップ&ゴーが多い都市部では、もう少ししなやかさが欲しいと感じる方がいたのも事実でしょう。
加えて、新開発されたトルクコンバーターレスの8速ATも、ダイレクト感と伝達効率を追求した意欲的なメカニズムですが、初期の制御プログラムでは低速域でわずかなギクシャク感を伴うことがありました。これは、従来の滑らかなトルコン式ATに慣れたユーザーにとっては、少し違和感として捉えられた可能性があります。これらの初期ロットにおける乗り味の評価が、中古車市場における「CX-60は乗り心地が硬い」というイメージを形成し、価格に影響を与えた一因であることは間違いありません。
ですが、この点は誤解してほしくないのですが、決して欠陥というわけではなく、マツダが目指した「走りの味付け」の結果です。この独特の乗り味が、後の改良でどのように変化していくのか。その点も、中古車選びの重要な鍵となります。
複数回のリコール情報が与えた市場への影響
どんなに優れた車であっても、デビュー直後には予期せぬ不具合が見つかることがあります。CX-60も例外ではなく、発売から複数回のリコールやサービスキャンペーンが届け出られました。具体的には、エンジン制御プログラムの不具合、トランスミッション制御の改善、フロントスタビライザーの不備などが挙げられます。
このような情報が公になると、どうしても「この車、大丈夫なのだろうか?」という漠然とした不安感が市場に広がります。特に、CX-60はマツダの新しい挑戦が詰まったフラッグシップモデルであったため、期待が大きかった分、リコールのニュースはネガティブな印象を与えやすかった側面があります。これが中古車市場での買い控えムードにつながり、結果として相場を押し下げる要因の一つとなったことは否定できません。
しかし、ここで冷静に考える必要があります。リコールとは、メーカーが自社の責任において問題を認め、無償で修理・改善を行う制度です。つまり、リコール対象であったとしても、きちんと対策が実施された車両であれば、むしろ問題点が改善された「より良い状態」になっていると捉えることができるのです。
私がディーラーにいた頃も、リコール対応をきっかけにお客様との信頼関係が深まるケースは少なくありませんでした。中古車を選ぶ際には、この「リコール対応済み」という事実が、品質を見極める上でのポジティブな指標にさえなり得ます。
では、そのリコール情報が、実際の価格にどの程度影響を与えているのでしょうか。次に、より直接的な市場のメカニズムについて見ていきましょう。
新車供給の安定化による中古市場での価格下落

CX-60がデビューした2022年頃は、世界的な半導体不足の真っ只中でした。多くの自動車メーカーが生産調整を余儀なくされ、新車の納期が大幅に遅れるという事態が発生していたことは、皆さんの記憶にも新しいでしょう。CX-60もその影響を受け、発売当初は注文してもなかなか手元に届かない状況が続きました。
このような状況下では、中古車市場の原理が普段とは少し違った動きをします。新車が手に入らないため、「多少高くてもすぐに乗れる中古車が欲しい」という需要が高まり、中古車価格が高騰するのです。特にCX-60のような新型の人気車種ではその傾向が顕著でした。
しかし、その後、半導体不足が徐々に解消され、マツダの生産ラインも安定稼働を取り戻しました。新車の供給がスムーズになると、何が起こるでしょうか。そうです、これまで中古車市場に流れていた需要が新車へと戻り、同時に、納車された新車から乗り換えられた車両が中古車市場へと流入し始めます。
需要が落ち着き、供給が増える。このシンプルな市場原理によって、高騰していた中古車相場は適正価格へと落ち着いていきます。これは私がディーラーで数々の新型車立ち上げを見てきた中でも、常に繰り返されてきた光景です。CX-60の場合、この供給安定化による価格の下落が、元々のプレミアムな価格設定と相まって、より「安くなった」という印象を強く与えているのです。
つまり、現在の価格は異常事態ではなく、市場が健全な状態に戻った証とも言えます。しかし、価格に影響を与えるのは供給量だけではありません。購入後の維持費という、もっと現実的な問題も関わってきます。
大排気量ディーゼルに対する維持費への懸念
CX-60の大きな魅力の一つが、なんといっても新開発の3.3L直列6気筒ディーゼルエンジン「e-SKYACTIV D」です。このエンジンは、550N·mという大トルクを発生させながら、驚くほどスムーズで静かに回り、燃費性能も優れています。私も初めてアクセルを踏んだ時、巨体を軽々と、そしてどこまでも伸びやかに加速させるその力強さに感銘を受けました。
しかし、日本の税制において「3.3L」という排気量は、少しばかり悩ましい存在です。自動車税は排気量に応じて課税されるため、CX-60のディーゼルモデルは、2.0L〜2.5Lクラスが主流のライバルSUVと比較して、年間の税額が高くなります。
| 排気量 | 年間自動車税額(2019年10月1日以降初回登録) |
|---|---|
| 2,001cc~2,500cc | 43,500円 |
| 2,501cc~3,000cc | 50,000円 |
| 3,001cc~3,500cc | 57,000円 |
このように、一般的な2.5LクラスのSUVと比較すると、年間で1万円以上の差額が発生します。中古車を検討するユーザー層は、購入後のランニングコストに敏感な方も多いため、この税金の高さが購入をためらわせる一因となり、中古車価格に反映されていると考えられます。
ただ、ここで一方的な見方をしてはいけません。確かに税金は高いですが、ディーゼルエンジンの燃料は比較的安価な軽油です。年間走行距離が多い方にとっては、ガソリン車との燃料代の差額で、税金の差を十分に相殺できる可能性があります。目先の税額だけでなく、ご自身の車の使い方を考慮したトータルコストで判断することが、賢い選択につながります。
維持費の問題は、車の価値を判断する上で重要な要素です。そして、もう一つ、新車価格そのものが中古車価格に大きな影響を与えています。
プレミアム価格帯ゆえの大きな値下がり幅
中古車の価格を考える上で、非常に重要な概念が「値下がり率」と「値下がり幅」です。CX-60は、マツダがプレミアム市場へ本格的に挑戦するために開発したモデルであり、その新車価格はガソリンモデルの約330万円から、最上級のPHEVモデルでは600万円を超える設定となっています。
一般的に、車両価格が高い車ほど、年数が経過した際の値下がり「額」、つまり「値下がり幅」は大きくなる傾向があります。これは単純な算数の問題です。
例えば、新車価格500万円の車と300万円の車が、どちらも1年で15%価値が下がったとします。
* 500万円の車:500万円 × 15% = 75万円の値下がり
* 300万円の車:300万円 × 15% = 45万円の値下がり
値下がり「率」は同じでも、値下がり「額」には30万円もの差が生まれます。CX-60はまさにこの前者にあたり、元々の価格帯が高いため、中古車になった際の価格の下落幅が大きく感じられるのです。これが「CX-60は値落ちが大きい」「安い」という印象につながっています。
しかし、これは見方を変えれば、中古車として購入する側にとっては、とてつもないメリットになります。新車で購入した前オーナーが負担した大きな価値下落分の恩恵を、中古車購入者は享受できるわけです。つまり、「新車時からの割引額が大きい、非常にお買い得な状態」と捉えることができます。
このように、車の価格は様々な要因で決まりますが、忘れてはならないのがライバルの存在です。次に、CX-60が置かれている市場環境について見てみましょう。
競合SUVの多様化による相対的な需要の変化
現在の日本の自動車市場、特にSUVセグメントは、まさに群雄割拠の戦国時代と言っても過言ではありません。CX-60が属するミドル〜ラージクラスの価格帯には、トヨタ ハリアー、日産 エクストレイル、三菱 アウトランダーPHEVといった、長年市場を牽引してきた強力なライバルたちがひしめいています。
各モデルが、それぞれ明確な強みを持っています。ハリアーは洗練された内外装と高いブランド力、エクストレイルはモーター駆動ならではの静かで滑らかな走り「e-4ORCE」、アウトランダーはPHEVとしての先進性と環境性能。こうした中で、CX-60は「FRプラットフォームと直6エンジンによる走りの良さ」という、ある意味でマニアックとも言える価値を前面に押し出して勝負を挑みました。
この戦略は、運転好きや本質を求めるユーザーには深く刺さりましたが、一方で、燃費や室内の広さ、万人受けする快適性を最優先する層からは、他の選択肢が選ばれることもありました。消費者のニーズが多様化する中で、CX-60の持つ個性が必ずしも全てのユーザーの需要と合致したわけではなかったのです。
私が各国のモーターショーを巡る中でも感じるのは、SUVというカテゴリーがいかに多様な価値観を内包するようになったか、ということです。その中でマツダがFRという伝統的な駆動方式にあえてこだわったのは、素晴らしい英断だと思います。しかし、その個性の強さが、中古車市場における需要の広がりを少し限定的にし、価格を落ち着かせる一因になったとも分析できるでしょう。
さて、ここまでCX-60が安い理由を6つの角度から見てきました。では、これらの理由を理解した上で、私たちはどのように行動すれば良いのでしょうか。
安い理由を理解し探すCX-60中古の賢い購入術

- 狙い目はソフトウェアアップデート済みの個体
- グレードごとの特徴とおすすめの見極め方
- 認定中古車を選ぶメリットとデメリットの比較
- 購入前に必ず行うべき試乗でのチェック項目
- 修復歴の有無と記録簿で確認すべき整備履歴
- 実際のオーナーの口コミから判断する満足度
CX-60の中古車がなぜ安いのか、その背景をご理解いただけたと思います。初期モデルの課題や市場原理など、様々な要因が絡み合っていることがわかります。しかし、重要なのはここからです。これらの理由を逆手に取り、いかにして質の高いCX-60を賢く手に入れるか。ここでは、私が培ってきた経験を基に、具体的な購入術を伝授します。
狙い目はソフトウェアアップデート済みの個体
前述の通り、初期ロットのCX-60には乗り心地やトランスミッションの挙動に課題がありました。しかし、マツダもその点を重々承知しており、その後の年次改良やサービスキャンペーンを通じて、継続的に改善を行っています。
特に重要なのが、各種制御プログラムのソフトウェアアップデートです。現代の車はまさに「走るコンピューター」。エンジンやトランスミッションの制御はECU(エンジンコントロールユニット)やTCU(トランスミッションコントロールユニット)と呼ばれるコンピューターが行っており、このプログラムを最新のものに書き換えるだけで、車の動きは驚くほど変わります。
私がカスタムショップで働いていた頃、ECUチューニングで車の性格が劇的に変化するのを目の当たりにしてきました。それと同じで、マツダが行う正規のアップデートは、初期モデルのネガティブな部分を解消する最も効果的な手段なのです。したがって、中古車選びで最も重要なポイントの一つは、「各種リコールやサービスキャンペーン、特にトランスミッション制御のソフトウェアアップデートが確実に行われている個体」を狙うことです。
これを確認する最も確実な方法は、車両に付属している「整備記録簿(メンテナンスノート)」をチェックすること。ディーラーで実施された作業内容が記載されているはずです。もし記録が不明確な場合は、販売店の担当者に確認し、納車前にディーラーで最新の状態にアップデートしてもらうよう交渉するのも良いでしょう。
アップデート済みの個体を見つけることが、賢いCX-60選びの第一歩です。では次に、数あるグレードの中からどれを選べば良いのかを見ていきましょう。
グレードごとの特徴とおすすめの見極め方
CX-60はパワーユニットだけでも4種類、そこに複数の装備パッケージが組み合わさり、非常に多くのグレードが存在します。どれを選べば良いか迷ってしまうのも無理はありません。ここでは、主要なパワーユニットとグレードの特徴を整理し、あなたのライフスタイルに合わせたおすすめの選び方をご紹介します。
まずは、主要なパワーユニットと装備パッケージの特徴を以下の表にまとめました。
| パワーユニット | 特徴 | おすすめのユーザー |
|---|---|---|
| 25S (2.5L ガソリン) | 最もベーシックで価格が手頃。乗り心地も比較的マイルドな設定。動力性能は必要十分。 | 街乗り中心で、初期費用を抑えたい方。穏やかな乗り味を好む方。 |
| XD (3.3L ディーゼル) | トルクフルで力強い走りが魅力。燃費は良好だが、自動車税は高め。 | 高速道路での長距離移動が多い方。力強い加速フィールを楽しみたい方。 |
| XD-HYBRID (3.3L ディーゼルMHEV) | XDにマイルドハイブリッドを組み合わせ、発進時や加速時のモーターアシストでより滑らかな走りを実現。燃費もさらに向上。 | 走りの質と燃費性能を高次元で両立させたい方。CX-60の魅力を最も体感したい方。 |
| PHEV (2.5L ガソリン+モーター) | 自宅で充電可能。モーターのみで70km以上走行可能で、日常使いはほぼEVとして使える。システム出力も最もパワフル。 | 自宅に充電環境があり、先進性と環境性能を重視する方。圧倒的な静粛性とパワーを求める方。 |
装備パッケージの選び方
* S Package: スポーティな内外装を持つ基本グレード。
* L Package: Lは”Leather”の意。レザーシートなど上質な内装が特徴。
* Exclusive Mode/Sports/Modern: ナッパレザーなど最高級の素材を使い、豪華さを極めた最上級グレード群。
* Premium Sports/Modern: 上記に加え、パノラマサンルーフなどが標準装備されるトップグレード。
私からのおすすめをいくつか挙げるとすれば、
* コストパフォーマンス重視なら「25S S Package」: 乗り心地も穏やかで扱いやすく、CX-60のデザインとFRの素性の良さを最も手頃に楽しめます。
* 走りと経済性のベストバランスなら「XD-HYBRID Exclusive Modern/Sports」: 直6ディーゼルの力強さとマイルドハイブリッドの滑らかさを兼ね備え、中古車市場での価格もこなれてきており、満足度が非常に高い選択肢です。
* 先進性を中古でお得に手に入れたいなら「PHEV」: 新車価格は高価ですが、中古ならかなり狙い目。自宅に充電設備があるなら、これ以上ない選択となるでしょう。
ご自身のカーライフを想像しながら、最適なグレードを見極めることが後悔しないための鍵です。しかし、どこで買うか、という問題も重要ですね。
認定中古車を選ぶメリットとデメリットの比較

中古車を購入する際、選択肢は大きく分けて「一般の中古車販売店」と「メーカーの正規ディーラーが運営する認定中古車」の二つがあります。特にCX-60のような新しい技術が詰まった車の場合、この選択は非常に重要になります。
私がディーラーの営業マンだった頃、認定中古車がいかに厳しい基準で選別され、徹底的に整備されてから店頭に並ぶかを間近で見てきました。その経験から言える、認定中古車を選ぶメリットとデメリットを比較してみましょう。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ① 高品質な車両 厳しい基準をクリアした良質な車両のみを販売。 |
① 価格が割高 手厚い整備や保証の分、一般の中古車店より価格は高め。 |
| ② 手厚い保証 新車に準じるような長期間・広範囲の保証が付帯。 |
② 在庫が少ない 厳しい基準のため、選択肢(色やグレード)が限られる場合がある。 |
| ③ 完璧な整備状態 納車前にメーカー基準の点検整備を実施。リコールやアップデートも対応済み。 |
③ 諸費用が高め 整備費用や保証料などが諸費用に含まれ、総額が高くなる傾向。 |
| ④ 絶大な安心感 購入後のトラブルリスクが低く、万一の際も正規ディーラーで対応してもらえる。 |
結論として、CX-60のようにデビューから年数が浅く、ソフトウェアアップデートなどが品質を左右するモデルの場合、認定中古車を選ぶメリットは非常に大きいと言えます。価格は少し高くなるかもしれませんが、それは「安心」という価値への投資です。特に、初めての輸入車や高価格帯の車に不安を感じる方にとって、これ以上ない選択肢でしょう。
もちろん、一般の中古車店にも良質な車両はたくさんあります。その場合は、次の試乗でのチェックが何よりも重要になります。
購入前に必ず行うべき試乗でのチェック項目
車のコンディションは、書類だけでは絶対にわかりません。必ず、ご自身の五感で確かめる「試乗」を行ってください。特にCX-60の場合、ネット上の評判に惑わされず、自分にとって快適かどうかを判断するために不可欠です。試乗の際には、以下の項目を意識してチェックしてみてください。
- ① 低速走行での滑らかさ:
駐車場内や渋滞路を想定し、時速20km以下でゆっくりと走行します。発進、停止、極低速でのアクセルのオンオフを繰り返し、トランスミッションに不快なショックやギクシャク感がないかを確認しましょう。アップデート済みの個体は、この領域の滑らかさが格段に向上しているはずです。 - ② 段差や荒れた路面での乗り心地:
あえて路面が少し荒れている場所や、マンホール、踏切などを通過してみてください。サスペンションからの突き上げ感が、ご自身の許容範囲内かどうかを確かめます。初期モデルと改良後モデルでは、この点の印象が大きく異なる可能性があります。 - ③ 中速〜高速域での加速フィール:
安全な場所で、少しアクセルを強めに踏み込んでみましょう。エンジンはスムーズに吹け上がるか、変速はリズミカルに行われるか、異音や不快な振動はないかを確認します。直6ディーゼルの気持ち良いトルク感を味わってみてください。 - ④ 電子装備の動作確認:
CX-60は、ドライバー・パーソナライゼーション・システムなど先進的な電子装備も魅力です。ナビゲーション、オーディオ、エアコンはもちろん、各種安全装備の表示や設定が正常に行えるか、一通り触ってみることをお勧めします。
可能であれば、販売店にお願いして少し長めの時間、様々な道路状況を走らせてもらうのが理想です。自分の感覚こそが、最高の判断基準となります。
修復歴の有無と記録簿で確認すべき整備履歴
試乗で車のフィーリングを確かめたら、次はその車の「過去」を知る番です。車のコンディションを客観的に判断するために、修復歴と整備記録簿の確認は絶対に行いましょう。
まず大前提として、「修復歴あり」の車両は避けるのが賢明です。修復歴とは、車の骨格(フレーム)部分を修理・交換した経歴があることを指し、走行安定性や安全性に問題を抱えている可能性があります。価格が安くても、手を出さない方が無難です。
そして、CX-60選びで特に重要なのが「整備記録簿」の中身です。ただ「ある」だけでは不十分。その内容をしっかりと読み解く必要があります。
チェックすべきポイント:
* どこで整備されていたか?
理想は、新車時から一貫してマツダの正規ディーラーで定期点検を受けている記録があることです。メーカーの専門知識を持ったメカニックがメンテナンスしてきたという、何よりの証拠になります。
* リコール・サービスキャンペーンの実施記録はあるか?
前述のソフトウェアアップデートなどが、いつ、どのタイミングで実施されたかを確認します。記録簿の備考欄などに記載されていることが多いです。
* 定期的なオイル交換が行われているか?
特にディーゼルエンジンは、エンジンオイルの管理が非常に重要です。推奨サイクルで定期的にオイル交換が行われているかは、エンジンコンディションを測る重要なバロメーターです。
以前、私が個人的に中古車を買おうとした際に、記録簿の記載が曖昧な車両がありました。販売店に尋ねても要領を得なかったため、その車は見送った経験があります。記録簿は車の健康診断書です。その内容に少しでも疑問があれば、納得いくまで質問するか、別の車両を探す勇気も必要です。
実際のオーナーの口コミから判断する満足度

最後に、情報収集の一環として、インターネット上のオーナーレビューや口コミを参考にするのも良いでしょう。ただし、そこには少し注意が必要です。
ネット上の評価は、非常に満足している人の声と、何らかの不満を抱えた人の声が両極端に現れやすい傾向があります。そのため、評価の星の数だけを見るのではなく、その評価に至った「背景」や「理由」を読み解くことが重要です。
- 「乗り心地が硬い」という口コミ:
その人は以前、どんな車に乗っていたのでしょうか?フワフワした乗り心地のミニバンから乗り換えたのであれば、硬いと感じるのは当然かもしれません。逆に、スポーツカーから乗り換えた人なら「快適だ」と感じるかもしれません。 - 「燃費が思ったより悪い」という口コミ:
その人の主な走行シーンは?渋滞の多い都心部ばかり走っていれば、カタログ燃費には届きにくいでしょう。高速巡航がメインの人は「非常に良い」と評価しているかもしれません。 - 「満足度が非常に高い」という口コミ:
どのグレードに乗っていて、どんな使い方をしているのかに注目しましょう。自分のライフスタイルや求めるものと近い人の高評価は、非常に参考になります。
このように、様々な口コミを多角的に見ることで、CX-60という車の全体像がより立体的に見えてきます。しかし、忘れないでください。最終的に大切なのは、他人の評価ではなく、あなた自身の価値観です。情報はあくまで参考にとどめ、試乗で感じたご自身の直感を信じることが、後悔しない最高の車選びにつながるのです。
これらの購入術を駆使すれば、あなたは「安い理由」を乗り越え、CX-60という素晴らしい素材の真価を見抜き、最高のカーライフを手に入れることができるはずです。あなたの車探しが、素晴らしい出会いにつながることを心から願っています。
まとめ:CX-60の中古が安い理由と後悔しないための賢い選び方ついて
マツダCX-60の中古車が安いのは、初期ロットの乗り心地の課題やリコール情報、新車供給の安定化などが理由です。しかし、これらの課題はソフトウェア更新で改善可能であり、対策済みの個体は非常にお買い得。特に直6ディーゼルの滑らかさと経済性を両立した「XD-HYBRID」は狙い目です。購入時は、リコール対策済みの記録があるか整備記録簿で確認し、必ず試乗で低速時の挙動をチェックしましょう。この記事を参考に、大きな価値を持つプレミアムSUV、CX-60を賢く手に入れて、最高のカーライフをスタートさせてください。
よくある質問
なぜCX-60の中古車はそんなに安いのですか?
デビュー初期の乗り心地への評価、複数回のリコール情報、半導体不足解消による新車供給の安定化などが重なり、中古車市場での価格が想定より早く落ち着いたためです。
初期ロットの乗り心地が硬いと聞きましたが、改善されていますか?
はい、マツダは年次改良や無償のサービスキャンペーンを通じて、サスペンションのセッティング変更や制御ソフトウェアのアップデートを行っています。対策済みの車両は乗り心地が大きく改善されています。
リコールが多いと聞くと不安です。中古車で買っても大丈夫ですか?
リコールはメーカーが責任を持って無償で改善する制度です。整備記録簿でリコール対策がきちんと実施されている車両を選べば、むしろ問題点が改善された安心できる状態と言えます。
中古で買うなら、どのグレードがおすすめですか?
コストパフォーマンスなら「25S」、走りと経済性のベストバランスを求めるならマイルドハイブリッド搭載の「XD-HYBRID」、先進性を求めるなら「PHEV」がおすすめです。
3.3Lディーゼルは維持費が高いですか?
自動車税は年間57,000円(2019年10月以降登録車)と高めですが、燃料が安価な軽油で燃費も良いため、年間走行距離が多い方はガソリン車よりトータルコストを抑えられる可能性があります。
認定中古車と一般の中古車店、どちらで買うべきですか?
ソフトウェア更新などが品質を左右するCX-60の場合、手厚い保証と万全の整備が施された「マツダ認定中古車」のメリットは非常に大きいです。安心感を重視するなら強くおすすめします。
試乗する時に特に注意すべき点は何ですか?
時速20km以下の低速走行で、発進・停止を繰り返してみてください。トランスミッションに不快なショックやギクシャク感がないかを確認することが最も重要です。また、荒れた路面での突き上げ感も確認しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。新型CX-60の“やばい問題”は、単なる欠点ではなく、新たなメカニズムに挑戦したがゆえの初期課題と市場原理が絡み合った結果でもあります。私は所有者ではありませんが、試乗経験や販売・整備現場で得た知見、そして多くのオーナーの声をもとに、実態を公平にお伝えしました。課題を理解し、ソフトウェア更新や認定中古車といった条件を押さえれば、CX-60は非常に価値ある一台になり得ます。機会があれば、改良後モデルの長距離レビューや、同価格帯SUVとの実走比較もご紹介したいと考えています。


