記事のポイント
- 4WDは燃費が悪化し乗り心地も硬め
- 車両価格は約30万円高く維持費も増える
- 雪道や未舗装路での走破性は圧倒的
- リセールバリューが高く資産価値がある
- 自分の使い方に合うかの見極めが重要
ハイエースの4WD選びで後悔しないためのデメリット解説

Whisk, AI generation ※1
ハイエースの購入を考え始めると、多くの方が一度は迷うのが「2WDか、4WDか」という選択でしょう。特に4WDモデルは、その響きだけでどんな道でも走れるような頼もしさを感じさせます。しかし、その万能性に憧れて選んだ結果、「こんなはずじゃなかった…」と後悔する声が聞かれるのも事実です。
私自身、ディーラーでお客様のカーライフについて伺ったり、カスタムショップで様々なハイエースに触れたりする中で、4WDを選んで満足された方、そして少しだけ後悔の念を抱かれた方の両方を見てきました。
ここではまず、4WDを選んで後悔しないために、購入前に必ず知っておくべきデメリットを、私の経験も交えながら正直にお話しします。良い面だけでなく、現実的な側面をしっかりと見つめることが、最高のハイエース選びの第一歩となるのです。
燃費は2WDと比較してどれくらい悪化するのか

Imagen 4, AI generation ※1
まず、誰もが気になるのが燃費の問題です。日々の維持費に直結するだけに、この差は無視できません。結論から言えば、ハイエースの4WDは2WDに比べて燃費が悪化します。
カタログ上の数値を見ると、同じエンジン・ボディタイプで比較した場合、おおよそリッターあたり1.0km前後の差があります。例えば、ディーゼルエンジン搭載のスーパーGL(標準ボディ)で比較すると、2WDが12.5km/Lなのに対し、4WDは11.6km/L(WLTCモード)といった具合です。
「なんだ、1kmくらいか」と思われるかもしれません。しかし、これはあくまでカタログ値。実際の走行シーンでは、この差がさらに開く傾向にあるのです。その理由は、4WDシステムを搭載することによる「車両重量の増加」と「駆動抵抗の増大」にあります。4WDモデルは、フロントにも駆動力を伝えるためのプロペラシャフトやデファレンシャルギアといった部品が追加されるため、単純に車が重くなります。また、常に四輪に動力を伝えようとするため、機械的な抵抗も増えるのです。
特に、信号の多い市街地でのストップ&ゴーや、渋滞路ではその影響が顕著に表れます。私の経験則では、実燃費ではリッターあたり1.5kmから2.0kmほど悪化するケースも珍しくありません。年間1万キロ走る方なら、燃料代で年間2万円から3万円程度の差額になる計算です。これが5年、10年と乗り続けるうちに、大きな金額の差となって表れてくるわけです。日々のランニングコストを少しでも抑えたい、主に舗装路の走行がメインだという方にとっては、この燃費の差は決して小さなデメリットではないでしょう。
では、この燃費という日々のコストと引き換えに、私たちは何を得られるのでしょうか。次の項目では、購入時の初期投資、つまり車両価格の差について見ていくことにしましょう。
購入時の車両価格の差額は妥当か
燃費に続いて、購入時に直接お財布に響いてくるのが車両価格です。ハイエースの4WDモデルは、2WDモデルに比べて新車価格でおおよそ30万円ほど高く設定されています。
この30万円という金額、あなたはどう感じますか?決して安い金額ではありませんよね。例えば、この30万円があれば、高性能なカーナビや後席モニターを付けたり、お気に入りのアルミホイールに交換したり、あるいは家族で豪華な旅行に出かけることだってできてしまいます。そう考えると、「本当に4WDに30万円の価値があるのだろうか?」と疑問に思うのは当然のことです。
ディーラーの営業時代、多くのお客様がこの価格差に頭を悩ませていました。「雪道は年に数回走るか走らないか…」「キャンプには行くけど、本格的なオフロードは走らないし…」といった使い方の場合、この30万円は「万が一のための保険」としては少々高額に感じられるかもしれません。
純粋に経済的な合理性だけで判断するならば、使用頻度が低い方にとって4WDの価格差は、割高に感じられる可能性が高いと言えます。2WDを選んで浮いた30万円を、LSD(リミテッドスリップデフ)の装着や高性能なスタッドレスタイヤの購入に充てた方が、限定的な状況下では賢い選択となる場合もあります。
しかし、物事の価値は金額だけで測れるものではありません。後ほど詳しく解説しますが、この30万円がもたらす「安心感」や「行動範囲の広がり」に、それ以上の価値を見出すオーナーが大勢いるのも事実です。
価格の話が出たところで、次は乗り心地という、お金では測れないフィーリングの部分に目を向けてみましょう。実はここにも、2WDと4WDの間に明確な違いが存在するのです。
乗り心地の硬さと路面からの突き上げ感
ハイエースは元来、商用バンとしてのルーツを持つため、乗用車に比べると乗り心地が硬めであることはご存知の方も多いでしょう。しかし、4WDモデルは2WDモデルと比べ、さらにその傾向が強くなることを覚悟しておく必要があります。
この乗り心地の硬さの主な原因は、フロントサスペンションの構造の違いにあります。ハイエースのフロントサスペンションには、一般的なコイルスプリングではなく「トーションバー」という金属の棒のねじれを利用したスプリングが使われています。4WDモデルは、フロントにもエンジンからの駆動力を伝えるドライブシャフトなどの部品が追加されるため、2WDモデルよりもフロント部分の重量が増加します。
この増加した重量を支えるために、4WDモデルには2WDモデルよりも太く、硬いトーションバーが標準で装着されているのです。これが、路面の凹凸を拾った際のゴツゴツとした硬質な乗り心地や、段差を乗り越えた際の「ドンッ」という突き上げ感の強さにつながります。
特に、後部座席に人を乗せる機会が多い方は注意が必要です。運転席ではそれほど気にならなくても、リアシートでは想像以上に揺れを感じることがあります。ディーラー時代にも、「家族から乗り心地について不満が出てしまって…」というご相談を受けたことがありました。
もちろん、この硬質な乗り心地は、ショックアブソーバーを乗り心地改善に特化した社外品に交換するなどのカスタムである程度緩和することは可能です。しかし、ノーマルの状態で比較した場合、2WDモデルの方が明らかにマイルドで快適な乗り心地であることは間違いありません。
毎日乗る車だからこそ、乗り心地は快適性の重要な指標です。この点を軽視すると、後から「こんなに硬いとは思わなかった」と後悔することになりかねません。
さて、乗り心地の次は、運転のしやすさに直結する「取り回し」についてです。ここにも4WDならではの特性が隠されています。
最小回転半径が大きく取り回しが不便な点

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大きなボディを持つハイエースですが、実は運転席からの見晴らしが良く、四角いボディ形状のおかげで車両感覚は掴みやすい車です。しかし、4WDモデルを選ぶと、その取り回しの良さが少しだけスポイルされてしまう点も見逃せません。
具体的には、「最小回転半径」が大きくなるのです。最小回転半径とは、ハンドルを左右どちらかにいっぱいに切った状態で旋回したときに、一番外側のタイヤの中心が描く円の半径のこと。この数値が小さいほど、小回りが利くということになります。
標準ボディのハイエースで比較すると、2WDの最小回転半径が5.0mなのに対し、4WDは5.2m。ワイドボディでは2WDが5.3m、4WDは5.5m(スーパーロングは6.1m)と、いずれも4WDの方が0.2m大きくなっています。
「たった20cmじゃないか」と思われるかもしれません。ですが、このわずかな差が、日常の運転シーンでじわじわと不便さを感じさせるのです。例えば、狭い路地でのUターンや、スーパーの駐車場での切り返し。2WDなら一発で曲がり切れたはずの場面で、4WDだと一度切り返す必要が出てくることがあります。ディーラーでお客様を乗せて試乗している際にも、「あれ、思ったより曲がらないな」という声を聞くことは少なくありませんでした。
この差が生まれる理由は、4WDのフロントタイヤ周りの構造にあります。フロントにも駆動力を伝えるドライブシャフトがあるため、タイヤの切れ角(ステアリングを切れる角度)に制限が出てしまうのです。
頻繁に狭い道や駐車場を利用する方、運転にあまり自信がない方にとっては、この小回りの利かなさが日々のストレスにつながる可能性があります。まさに「あと少しなのに!」というもどかしさを感じる場面が増えるかもしれないのです。
取り回しの不便さという日常的なデメリットを見てきましたが、次は少し長期的な視点、メンテナンスにかかる費用について掘り下げてみましょう。
2WDより高くなるメンテナンス費用とは
ハイエースは頑丈で壊れにくい、というイメージが強い車です。それは事実であり、適切なメンテナンスを行えば非常に長く付き合うことができます。しかし、4WDモデルは2WDモデルに比べて構造が複雑になる分、長期的に見るとメンテナンス費用が少しだけ高くなる傾向があります。
これは、2WDには存在しない4WD特有の部品が増えるためです。具体的に挙げられるのは以下の通りです。
- フロントデファレンシャルギア: フロントタイヤに駆動力を分配する装置です。ここにはデフオイルが入っており、定期的な交換が必要になります。
- トランスファー: エンジンからの動力を前後輪に分配する装置です。ここにも専用のオイルがあり、交換が必要です。
- フロントプロペラシャフト・ドライブシャフト: 動力を伝えるための軸です。これらの部品には、関節部分を保護するためのゴム製の「ブーツ」が装着されています。このブーツは経年劣化で破れることがあり、破れたまま走行を続けると内部のベアリングが破損し、高額な修理費用につながる可能性があります。
もちろん、これらの部品がすぐに壊れるわけではありません。トヨタの品質は非常に高いですから。ただ、部品点数が増えれば、それだけ故障のリスクや交換が必要な消耗品が増えるのは、機械工学の観点からも避けられない事実です。
例えば、車検の際に交換が必要なオイルの種類が増えたり、走行距離が伸びてきた際にドライブシャフトブーツの点検・交換が必要になったりと、2WDモデルでは発生しないメンテナンス項目が出てきます。一つ一つの費用は数千円から数万円程度ですが、長い目で見るとその積み重ねが維持費の差となって表れてくるのです。
購入時の価格だけでなく、所有し続ける間のランニングコストまで含めて考えることが、後悔しない車選びの秘訣と言えるでしょう。
さて、コストや運転感覚といった実用的なデメリットに続いて、最後は身体で直接感じる物理的な違いについてお話しします。
車高アップによる乗り降りのしづらさ

出典:TOYOTA公式サイト
4WDモデルは、2WDモデルと比較して最低地上高が高く設定されています。具体的には、約25mm、指2本分くらいの差があります。これは悪路走破性を高める上ではメリットなのですが、日常生活においてはデメリットに転じる場合があります。それが「乗り降りのしづらさ」です。
ハイエースはもともと床面が高い車です。そこにさらに25mmの高さが加わることで、特に小柄な方やご年配の方、小さなお子さんにとっては、乗り降りが一層「よじ登る」ような感覚になる可能性があります。運転席や助手席はまだ良いのですが、スライドドアから後部座席に乗り込む際には、このわずかな差が大きく感じられることもあります。
私が見てきた例では、家族での使用を考えてハイエースを選んだものの、奥様やお子さんから「乗り降りが大変」と言われ、後付けでサイドステップを取り付けたというケースがありました。最初からその可能性を考慮していれば、納車時に装着することもできたはずです。
また、乗り降りだけでなく、荷物の積み下ろしにも影響します。重い荷物を頻繁に載せる仕事で使われる方にとっては、床面が少しでも低い方が身体への負担は軽くなります。たかが25mmと侮らず、自分の使い方や同乗者のことを想像してみることが大切です。
もし可能であれば、ディーラーで2WDと4WDの実車を乗り比べてみることを強くお勧めします。カタログのスペックだけではわからない、身体で感じる違いがそこにはあるはずです。
ここまで、4WDを選ぶ上での様々なデメリットを率直にお伝えしてきました。しかし、もちろんハイエースの4WDは、これらのデメリットを補って余りある素晴らしい魅力を持っているからこそ、多くのファンに支持されているのです。
後悔しないハイエース4WDの必要性とメリットを検証

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さて、ここまでハイエース4WDが持つデメリットや注意点について詳しく見てきました。「なんだか4WDって大変そうだな…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、物事には必ず表と裏があります。これらのデメリットは、これからお話しする絶大なメリットと表裏一体の関係にあるのです。
私自身、雪深い地域のモーターショーへ取材に行く際や、趣味のキャンプで未舗装の道を走る際に、幾度となく4WDの恩恵を受けてきました。あの「何があっても大丈夫」という感覚は、一度味わうと手放せなくなるほどの魅力があります。
ここでは視点を変えて、なぜ多くの人がデメリットを承知の上で4WDを選ぶのか、その本質的な価値とメリットを徹底的に検証していきましょう。あなたのカーライフにとって、が本当に必要なのかどうかを判断する上で、きっと大きなヒントが見つかるはずです。
雪道や凍結路での圧倒的な走行安定性
ハイエース4WDのメリットを語る上で、これを抜きにしては始まりません。雪道や凍結路(アイスバーン)における走行安定性は、2WDモデルとはまさに別次元と言っても過言ではないでしょう。
2WDのハイエースはFR(フロントエンジン・リアドライブ)方式です。荷物を積んでいない空荷の状態では、車体後部が軽いため、駆動輪である後輪に十分な荷重(トラクション)がかかりにくくなります。ディーラー時代、冬になると「2WDのハイエースで、ちょっとした坂道でもタイヤが空転して登れない」というお話を本当によく耳にしました。FF(前輪駆動)のコンパクトカーがスイスイ登っていく横で、立ち往生してしまうこともあるのです。
一方、ハイエースのフルタイム4WDシステムは、常に四輪に適切な駆動力を配分します。滑りやすい路面で後輪が空転を始めても、即座に前輪がグッと路面を掴んで車体を前に引っ張り上げてくれるのです。この安定感は絶大で、特に雪道のカーブや坂道での発進時に、ドライバーに大きな安心感をもたらしてくれます。
以前、スキー場へ向かう凍結した上り坂で、目の前の2WD車が立ち往生している横を、私が乗る4WDのハイエースが何事もなかったかのように駆け上がっていった時の記憶は今でも鮮明です。ハンドルを通して伝わってくる、四つのタイヤがしっかりと雪面を捉えている感覚。これは、どんな高性能なスタッドレスタイヤを履いた2WD車でも決して得られない、4WDならではの世界です。
降雪地帯にお住まいの方や、ウィンタースポーツを趣味にしている方にとって、この走行安定性は初期投資の価格差や燃費の悪化を補って余りある、まさに「命綱」とも言える価値を持つでしょう。
雪道という非日常のシーンでの強さを見てきましたが、次はもう少し身近なアウトドアシーンでの実力に目を向けてみましょう。
釣りやキャンプなど未舗装路での走破能力
ハイエースの広大な荷室空間は、キャンプや釣り、サーフィンといったアウトドアアクティビティとの相性が抜群です。しかし、そういった趣味のフィールドは、必ずしも綺麗に舗装された道ばかりではありません。雨上がりのぬかるんだキャンプサイト、砂利だらけの河原、湿った草地など、思わぬところでタイヤがスタック(動けなくなること)してしまう危険が潜んでいます。
2WD(FR)のハイエースが最も苦手とするのが、まさにこういった悪路です。空荷状態では後輪にトラクションがかかりにくいため、ぬかるみや砂地で少しでもタイヤが空転し始めると、面白いようにその場で穴を掘ってしまい、身動きが取れなくなってしまいます。私もカスタムショップ時代に、河原でスタックした2WDのハイエースを救出しに行った経験が何度もあります。
その点、4WDであれば安心感が全く違います。たとえ後輪が少し滑ったとしても、前輪が力強く地面を掻いてくれるため、多くの場面で難なく脱出することが可能です。これにより、「この先進んでも大丈夫だろうか?」という不安から解放され、よりフィールドの奥深くまで躊躇なく入っていけるようになります。
これは、単にスタックを回避できるというだけでなく、「趣味の行動範囲が広がる」という大きな価値を生み出します。他の人がためらうような絶好の釣りポイントや、景色の良いキャンプサイトにアクセスできる可能性が広がるのです。この「行きたい場所に行ける自由」こそ、多くのハイエース4WDオーナーが感じている満足感の源泉ではないでしょうか。
しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。「2WDでもLSDを付ければ、かなり走れるんじゃないの?」と。その鋭い疑問について、次は詳しく解説していきましょう。
2WDのLSD装着車との性能差はどれくらいか
ハイエースの駆動方式を語る上で、必ず話題に上がるのが「LSD(リミテッド・スリップ・デフ)」の存在です。これは、左右の駆動輪の回転差を制限する装置で、片方のタイヤが空転しても、もう一方のタイヤに駆動力を伝えてくれる優れものです。メーカーオプションでも設定されており、特に2WDを選ぶ多くの方が装着を検討します。
では、LSDを装着した2WDと、ノーマルの4WDでは、悪路走破性にどれくらいの差があるのでしょうか。
結論から言うと、「LSD付き2WDはノーマル2WDより格段に走破性が向上するが、4WDの安定性には及ばない」というのが私の見解です。
LSDは、ぬかるみや雪道で片輪が空転した際に絶大な効果を発揮します。本来なら空転するタイヤに逃げてしまう駆動力を、グリップしている側のタイヤに伝えることで、前に進む力を生み出します。これにより、ノーマルの2WDでは考えられないような悪路からの脱出が可能になります。
しかし、LSDにも限界があります。例えば、左右両方の後輪が同時にグリップを失うような深いぬかるみや、急な登り坂では、後輪二つだけでは車体を前に押し出す力が足りなくなることがあります。また、LSDはあくまで「後輪駆動」の枠組みの中での改善策です。
一方で4WDは、後輪がグリップを失っても、前輪が車体を「引っ張る」ことができるという根本的な違いがあります。この「押す力(後輪)」と「引く力(前輪)」が組み合わさることで、LSD付き2WDでは走破不可能な状況でも安定して前進できるのです。特に発進時のトラクション性能は、4WDに軍配が上がります。
もちろん、4WDにLSDを追加すればさらに走破性は高まりますが、まずは「二輪で押す」LSD付き2WDと、「四輪で押し引きする」4WDという、構造的な違いを理解することが重要です。
さて、走りの性能面を見てきましたが、次は少し視点を変えて、手放す時の価値、つまりリセールバリューについて考えてみましょう。
リセールバリューの高さは本当なのか
車を所有する上で、購入時の価格と同じくらい気になるのが、手放す時の価値、すなわち「リセールバリュー」です。ハイエースは全般的にリセールバリューが非常に高いことで有名ですが、中でも4WDモデルは特にその傾向が顕著です。
これは単純な需要と供給のバランスによるものです。4WDモデルは、降雪地帯での需要が年間を通して安定していることに加え、近年盛り上がりを見せるアウトドアや車中泊ブームを背景に、全国的に人気が高まっています。仕事用だけでなく、レジャー用途でハイエースを求める層にとって、4WDの走破性は大きな魅力として映るのです。
中古車市場では、「高くても良いから、状態の良い4WDが欲しい」という買い手が常に存在します。そのため、2WDモデルに比べて中古車価格が下がりにくく、高値で取引される傾向が強いのです。
ディーラーの査定現場でも、同じ年式・走行距離・程度のハイエースであれば、4WDというだけで査定額が2WDよりも数十万円高くなるのは当たり前の光景でした。結果として、購入時に支払った約30万円の価格差が、売却時にはそっくりそのまま、あるいはそれ以上の価値となって返ってくるケースも少なくありません。
もちろん、車の状態や市場の動向によって変動はありますが、「初期投資は高いけれど、最終的なトータルコストで見ると、実はそれほど差がなかった」ということも十分にあり得るのです。これを「資産価値の高さ」と捉えれば、4WDを選ぶ一つの強力な理由になるのではないでしょうか。
経済的なメリットに続いては、感覚的なメリット、高速走行時の安心感について掘り下げていきます。
横風を受けやすい高速走行時の安心感
ハイエースはボディ側面積が大きいため、高速道路などでの横風の影響を受けやすいという特性があります。特に橋の上やトンネルの出口などでは、強い横風に煽られてヒヤッとした経験がある方も多いのではないでしょうか。
この点においても、4WDモデルは2WDモデルに対して優位性を持っています。その理由は二つあります。一つは「車両重量」。前述の通り、4WDシステムを搭載する分、車両重量が重くなります。車は重い方が、ドッシリと安定し、風などの外乱に対して強くなるのです。
そしてもう一つの、より重要な理由が「四輪駆動による走行安定性」です。フルタイム4WDは、常に四つのタイヤが路面を掴み、車体を安定させようと働いています。横風を受けて車体が少し流されそうになっても、四輪がしっかりと踏ん張ることで、直進性を維持しようとする力が強く働きます。
感覚的に表現するならば、2WDが風を受けて少しフラフラするのに対し、4WDは路面に根が生えたようにドシッと安定しているイメージです。これにより、ドライバーは無意識のうちに行っていた細かなハンドル修正から解放され、長距離運転での疲労が明らかに軽減されます。
特に、家族や大切な人を乗せて高速道路を走る機会が多い方にとって、この精神的な安心感はプライスレスな価値を持つはずです。運転のストレスが減ることは、安全運転にも直結します。
これまで雪国や悪路でのメリットを主にお話ししてきましたが、最後に、それ以外の地域に住むオーナーが4WDを選ぶ理由とその満足点について見ていきましょう。
降雪地帯以外でのオーナーの満足点
「雪もほとんど降らないし、本格的なオフロードも走らない。それでも4WDを選ぶ意味ってあるの?」これは、私がお客様から最も多く受けた質問の一つです。そして、その答えは「大いにあります」です。
降雪地帯以外に住むオーナーが4WDを選ぶ最大の理由は、やはり「万が一の備え」という安心感にあります。数年に一度のドカ雪、ゲリラ豪雨で冠水した道路、台風通過後の荒れた路面など、現代の日本ではいつどこで想定外の事態に遭遇するかわかりません。「自分のハイエースは4WDだから大丈夫」という自信は、そうした非常時において何物にも代えがたい精神的な支えとなります。
また、もう一つの大きな満足点は「趣味や行動の自由度が格段に上がること」です。普段は街乗りしかしない方でも、「今度の休みは、ちょっと足を延して山の上のキャンプ場に行ってみようか」「冬になったら、スキーに挑戦してみようかな」といったように、4WDであるという事実が、新しいことへ挑戦するきっかけを与えてくれます。
2WDであれば躊躇してしまうような場所へも、「行ける」という選択肢が手元にある。この可能性の広がりこそが、カーライフをより豊かで楽しいものにしてくれるのです。
結局のところ、ハイエースの4WDを選ぶかどうかの最終的な判断は、あなたのライフスタイルや価値観に深く関わってきます。ここまで見てきたデメリットとメリットを天秤にかけ、自分にとってどちらが重要かを見極めることが、後悔のない最高の選択につながるはずです。
まとめ
ハイエースの4WDモデルは、雪道や悪路での圧倒的な走破性という大きな魅力がありますが、その反面、燃費の悪化、約30万円高い車両価格、硬い乗り心地、小回りが利きにくいといった日常使いでのデメリットも存在します。また、部品点数が増えるため長期的なメンテナンス費用も2WDより高くなる傾向があります。しかし、高いリセールバリューや高速走行時の安定性といったメリットも無視できません。この記事で解説したデメリットとメリットを天秤にかけ、あなたの使用頻度や重視する価値観に照らし合わせて、後悔のない一台を選びましょう。
よくある質問
ハイエースの4WDと2WDで、実際の燃費はどれくらい違いますか?
カタログ値では約1km/Lの差ですが、市街地走行などでは実燃費で1.5〜2.0km/Lほど悪化することが多いです。年間1万km走行すると、燃料代で2〜3万円程度の差になる可能性があります。
4WDの価格は2WDより約30万円高いですが、その価値はありますか?
雪道を頻繁に走る、悪路でのキャンプが多いなど、4WDの性能を必要とする方にとっては十分な価値があります。一方で、主に街乗りで年に数回しか雪道を走らない場合は割高に感じるかもしれません。ただし、4WDはリセールバリューが高いため、売却時に価格差が回収できる可能性もあります。
4WDの乗り心地はそんなに硬いのですか?家族から不満は出ますか?
はい、2WDに比べて乗り心地は硬質で、路面の凹凸による突き上げ感を強く感じやすいです。これはフロントの重量増に合わせて硬いサスペンションが装着されているためです。特に後部座席では揺れが大きくなるため、同乗者から不満が出る可能性はあります。試乗して確認することをおすすめします。
小回りが利かないと聞きましたが、運転にどれくらい影響しますか?
最小回転半径が2WDより0.2m大きくなります。このわずかな差で、Uターンや駐車場の切り返しなど、狭い場所での取り回しに不便を感じる場面が増える可能性があります。「あと少しなのに曲がりきれない」というストレスを感じることがあるかもしれません。
4WDのメンテナンスで、2WDにはない費用は何ですか?
フロントデファレンシャルオイルやトランスファーオイルの定期的な交換が必要です。また、フロントドライブシャフトのブーツが経年劣化で破れた場合、交換が必要になります。部品点数が増える分、長期的に見るとメンテナンス費用は高くなる傾向があります。
2WDにLSDを付ければ、4WDは必要ないですか?
LSDを装着した2WDは、ノーマルの2WDに比べて悪路走破性が格段に向上します。しかし、あくまで後輪二つで車体を押す仕組みです。後輪がグリップを失っても前輪が車体を引っ張ることができる4WDの根本的な安定性や走破性には及びません。より過酷な状況では4WDに軍配が上がります。
雪国在住ではないですが、4WDを選ぶメリットはありますか?
はい、あります。数年に一度の大雪やゲリラ豪雨による冠水路など、「万が一の備え」としての安心感が得られます。また、「4WDだから行ける」という選択肢が生まれることで、キャンプや釣りなど趣味の行動範囲が広がり、カーライフがより豊かになるという満足感を得ているオーナーも多くいます。
ご一読ありがとうございました。4WDの魅力も代償も、すべては「あなたの使い方」に左右されます。ここで挙げたデメリットとメリットを照らし合わせ、ご自身のカーライフに最適な選択をしていただければ幸いです。次の一歩が見えてきたら、ぜひその感想をお聞かせくださいね。


