元ディーラー営業やカスタムショップ勤務の経験を経て、現在はモータージャーナリストとして活動しています。今回のテーマは「高速道路で車が故障したときの正しい対応」。ハザードランプ点灯から路肩への移動、発炎筒や三角表示板の設置、ガードレール外への避難、そして非常電話やロードサービスの呼び方まで、命を守るために必要な初期行動を順を追って詳しく解説します。
記事のポイント
- まずハザードを点灯し後続車に異常を知らせる
- 安全な路肩に停車し後方に停止表示器材を設置
- 車内に留まらず必ずガードレールの外へ避難
- 非常電話か携帯で現在地(キロポスト)を伝える
- JAFと保険ロードサービスの違いを理解し備える
高速道路で自動車が故障した際の初期対応

- まずはハザードランプで後続車に異常を知らせる
- 安全な路肩や非常駐車帯へ自動車を移動させる
- 発炎筒と停止表示器材を後方に設置する義務
- 必ずガードレールの外側など安全な場所へ避難する
- 車内に留まることや車道に出ることの危険性
- 道路交通法で定められている停車と駐車のルール
高速道路という特殊な環境で、もし愛車が動かなくなったら…想像するだけで背筋が凍る思いがするかもしれません。スピードを出す車の流れの中で、一体どうすれば良いのか。パニックに陥ってしまうのも無理はありません。しかし、こんな時こそ冷静な判断と、定められた手順に従うことが、あなた自身と同乗者、そして他のドライバーの命を守ることに繋がります。ここでは、万が一の事態に遭遇した際に、まず取るべき初期対応について、順を追って詳しく解説していきます。
まずはハザードランプで後続車に異常を知らせる

車のメーターパネルに見慣れない警告灯が点灯したり、エンジンから異音が聞こえたり、あるいは突然ハンドルが重くなるなど、何らかの異常を感じた瞬間、あなたが真っ先に行うべき行動。それは、ハザオーバーボタンを押してハザードランプを点灯させることです。これは単なる合図ではありません。後続車に対して「私の車に異常が発生しています。注意してください」と伝える、いわば緊急の対話なのです。
私も昔、深夜の関越道で家族を乗せて走行中、突然エンジン警告灯が点滅し、みるみる出力が落ちていくという恐怖を味わった経験があります。その時、考えるより先に指がハザードボタンを押していました。後続のトラックが車間距離を空けてくれたのがバックミラー越しに見え、どれほど安堵したことか。
高速で走行している後続車にとって、前方の車の急な減速は非常に危険です。ハザードランプの点滅は、後続車があなたの車の異変を早期に察知し、追突を回避するための時間的・精神的猶予を与える極めて重要なアクションとなります。パニックで頭が真っ白になりそうな時でも、「まずハザード」とだけは、どうか覚えておいてください。このワンアクションが、二次的な事故を防ぐ最初の、そして最も重要な一歩となるのです。
さあ、後続車に異常を知らせることができたら、次に行うべきは安全な場所への移動です。しかし、どこへ、どのように移動すれば良いのでしょうか。
安全な路肩や非常駐車帯へ自動車を移動させる
ハザードランプを点灯させたら、次は車を安全な場所へ移動させます。ここで焦って急ハンドルを切ったり、無理な車線変更をしたりするのは禁物です。周囲の車の流れをよく確認しながら、ゆっくりと一番左の走行車線へ移動し、路肩や非常駐車帯に向かいましょう。
理想的な停車場所は、十分な幅のある路肩や、サービスエリア・パーキングエリア、そして約500mおき(トンネル内では約200mおき)に設置されている非常駐車帯です。エンジンが完全に停止する前であれば、惰性を利用してでも、できる限りこれらの安全なスペースまで自走させる努力をしてください。
しかし、トンネルの中や橋の上など、路肩が極端に狭い、あるいは全くない場所で動けなくなってしまうケースも考えられます。このような状況では、無理に停車するのではなく、可能な限り危険な場所を抜け出すことを優先すべきです。たとえ異音や振動がひどくても、完全に動かなくなるまでは、ハザードを点灯させたまま最徐行で走行を続け、少しでも広い場所を目指す勇気が必要です。車のダメージを気にするあまり、危険な場所に留まることの方が、はるかに大きなリスクを伴うことを理解してください。
いずれにせよ、車を停止させる際は、できる限り左側に、そして後方の交通の妨げにならないよう、ハンドルを左に切って停車させるのが鉄則です。万が一、後続車に追突された際に、自分の車が本線車道側へ飛び出すのを防ぐためです。
安全な場所へ車を移動させることができたら、それで一安心…ではありません。次に行うべき重要な義務が残っています。
発炎筒と停止表示器材を後方に設置する義務
![]()
安全な場所に車を停めたら、次に行うのは「後続車に対して、ここに停止車両があることを明確に示す」ことです。これは道路交通法で定められた義務であり、怠ると「故障車両表示義務違反」として罰則の対象となる可能性があります。具体的には「発炎筒」と「停止表示器材(三角表示板など)」を使用します。
まず、同乗者がいる場合は、先にガードレールの外側など安全な場所へ避難させてください。その後、運転者自身が車の後方へ向かい、これらの機材を設置します。設置する順番や役割には、実は意味があります。
- 発炎筒(非常信号用具):これは、いわば緊急速報です。非常に明るい炎と煙で、遠くの後続車にも異常事態を知らせる効果があります。特に夜間や悪天候時には絶大な威力を発揮します。助手席の足元やドアポケットに備え付けられていることが多いので、事前に場所を確認しておくと良いでしょう。ただし、燃焼時間は約5分と短いため、あくまで初期の警告用と捉えてください。
- 停止表示器材(三角表示板):発炎筒が燃え尽きた後も、継続的に停止車両の存在を知らせるのが、この三角表示板の役割です。法律で携帯が義務付けられているわけではありませんが、高速道路上でやむを得ず停車する場合には表示義務があります。つまり、実質的には全てのドライバーが車に積んでおくべき必須アイテムと言えるでしょう。
ディーラー時代にお客様から聞いた話ですが、いざという時に三角表示板の組み立て方が分からず、後続車がビュンビュン通過する横でパニックになったそうです。笑い話のようですが、実際にあり得ることです。三角表示板は、故障した車から50m以上後方(できれば100m程度)の、後続車から見やすい位置に設置するのが基本です。購入したら一度、ご自宅で組み立てる練習をしておくことを強くお勧めします。
これで後続車への安全対策は完了しました。では、あなた自身はどこにいるべきなのでしょうか。
必ずガードレールの外側など安全な場所へ避難する
停止表示器材の設置が完了したら、あなたはもう、車の近くにいるべきではありません。たとえ雨が降っていても、寒くても、暑くても、運転者も同乗者も全員、必ずガードレールの外側など、本線を走行する車から物理的に隔離された安全な場所へ避難してください。
これは、二次的な事故、特に後続車による追突から自らの命を守るための、最も重要な鉄則です。「車の中の方が安全なのでは?」と考える方がいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな間違いです。高速道路上では、停車している車は非常に目立ちにくく、わき見運転や居眠り運転の車が突っ込んでくる可能性は決してゼロではありません。時速100kmで走る車に追突された場合、車内に残っていれば命の保証はないと考えるべきです。
避難する際は、車の後方から近づいてくる車に十分注意しながら、左側のドアから降り、速やかにガードレールの外側へ移動します。もし、橋の上などでガードレールの外側に出るスペースがない場合は、車の前方ではなく、追突された場合に巻き込まれないよう、車の後方にある非常駐車帯や非常電話まで移動して避難してください。
愛車が心配な気持ちは痛いほど分かります。しかし、車は修理すれば元に戻る可能性がありますが、失われた命は二度と戻ってきません。
では、なぜそこまでして車内や車道から離れなければならないのでしょうか。その具体的な危険性について、もう少し詳しく見ていきましょう。
車内に留まることや車道に出ることの危険性
なぜ、あれほどまでに「ガードレールの外へ」と強調するのか。それは、過去の痛ましい事故事例がその危険性を何よりも雄弁に物語っているからです。高速道路での故障・事故による死亡者のうち、少なからぬ割合が、車内や車の周辺にいたために二次的な事故に巻き込まれた方々です。
カスタムショップ時代、路肩に停車中のトラックに後続車が追突し、大破した車両を引き取りに行ったことがあります。幸いにもドライバーはガードレールの外に避難していて無事でしたが、運転席は原形を留めていませんでした。もし彼が車内に残っていたら…と考えると、今でも肝が冷える思いです。
車内に留まることの危険性は、主に追突による衝撃です。静止している物体に高速で動く物体が衝突するエネルギーは凄まじく、シートベルトやエアバッグがあっても、乗員の命を守りきれるとは限りません。
一方、車の様子を見ようと車道に出たり、停止表示器材を設置するために不用意に車線上を歩いたりすることも、自殺行為に等しいと言えます。高速で走行するドライバーにとって、路上にいる歩行者は全くの想定外であり、発見が遅れれば回避することはほぼ不可能です。特に夜間は、黒っぽい服装をしていると全く見えないこともあります。高速道路は自動車専用の道路であり、人が歩く場所ではないという大原則を、肝に銘じてください。
故障した愛車を離れるのは不安かもしれませんが、あなたの命より大切なものはありません。安全な場所に避難することが、全ての対応の基本となるのです。
では、そもそも高速道路で車を停めるという行為は、法律上どのように扱われるのでしょうか。
道路交通法で定められている停車と駐車のルール
普段、何気なく利用している高速道路ですが、そこには一般道とは異なる特別な交通ルールが存在します。その一つが、停車と駐車に関する厳しい規制です。道路交通法第75条の8では、高速自動車国道等における停車及び駐車を原則として禁止しています。
これは、高速で走行する車両の流れを妨げ、追突事故などの重大な危険を誘発するのを防ぐためです。料金所のブースやサービスエリア・パーキングエリアの駐車マスなど、指定された場所以外での駐停車は、法令で認められていません。
ただし、このルールには例外があります。それが「危険を防止するため一時停止する場合その他やむを得ない場合」です。今回のような自動車の故障は、まさにこの「やむを得ない場合」に該当します。したがって、故障によって路肩や非常駐車帯に停車すること自体は、法律違反にはなりません。
しかし、重要なのはここからです。やむを得ず停車した場合、同法第75条の11では、運転者に対して「停止していることを表示する」義務と、「速やかに自動車を移動するため必要な措置を講ずる」義務を課しています。前者が先ほど解説した停止表示器材の設置義務であり、後者がロードサービスなどを呼んで車を移動させる義務にあたります。
つまり、「故障したから仕方ない」で済まされるのではなく、停車したドライバーには、さらなる危険を発生させないための安全確保措置と、交通の妨げとなっている状態を解消するための努力が法的に求められているのです。このことを理解しておくことが、責任あるドライバーとしての心構えと言えるでしょう。
さて、初期対応と安全確保が完了したら、次はいよいよ本格的な救援要請のステップに移ります。
高速道路での自動車故障で救援を呼ぶ手順
出典:WebCrew
- 非常電話の場所と正しい使い方
- 携帯電話で通報する際に伝えるべき情報
- JAFと自動車保険のロードサービスの違い
- 救援を待っている間の注意点と二次災害の防止
- レッカー搬送にかかる費用と保険適用の有無
- 故障を未然に防ぐための出発前点検項目
安全な場所へ避難し、後続車への警告も済ませたら、次はいよいよ外部へ助けを求める段階です。一刻も早くこの状況から脱出するために、正確かつ迅速に救援を要請する必要があります。しかし、ここは高速道路の上。どこに、どうやって連絡すれば良いのでしょうか。ここでは、非常電話の使い方から携帯電話で伝えるべき情報、そして頼りになるロードサービスの種類まで、救援を呼ぶための具体的な手順と知識を解説します。
非常電話の場所と正しい使い方
今や誰もが携帯電話やスマートフォンを持つ時代ですが、高速道路上では「非常電話」が今でも重要な役割を担っています。なぜなら、山間部などでは携帯電話の電波が届かない「圏外」エリアが存在しますし、いざという時に限ってスマートフォンのバッテリーが切れてしまうことも考えられるからです。
非常電話は、高速道路本線上では約1kmおき、トンネル内では約200mおきに設置されています。オレンジ色のボックスが目印で、誰でも無料で利用できます。使い方は非常にシンプルです。
- ボックスの扉を開ける。
- 中にある受話器を取る。
たったこれだけです。ダイヤルする必要はなく、受話器を上げるだけで道路管制センターの係員に直接繋がります。この非常電話の最大のメリットは、あなたが電話をかけている場所が、係員側で自動的に特定されることです。土地勘のない場所で故障して「今どこにいるか分からない」という状況でも、非常電話を使えば正確な位置情報が伝わるため、救援隊がスムーズに現場へ向かうことができます。
受話器を取ったら、係員の指示に従い、「故障」「事故」の別、負傷者の有無、そして車の状況などを落ち着いて伝えてください。必要であれば、そこからJAFや加入している保険会社のロードサービスへ取り次いでもらうことも可能です。携帯電話が使える状況であっても、もし近くに非常電話があれば、こちらを使う方がより確実で迅速なケースもあることを覚えておくと良いでしょう。
では、携帯電話が使える場合は、どのような点に注意して通報すればよいのでしょうか。
携帯電話で通報する際に伝えるべき情報
携帯電話が使える場合、通報先は主に2つあります。一つは、道路緊急ダイヤル「#9910」。もう一つは、JAFの救援コールや、ご自身が加入している自動車保険のロードサービス窓口です。どこにかけるにせよ、限られた時間で正確な情報を伝えることが、迅速な救援に繋がります。パニックにならず、以下の情報を整理して伝えられるように準備しておきましょう。
- 現在地:これが最も重要です。高速道路名(例:東名高速道路)、上下線の別(例:下り線)、そして「キロポスト」の数字を伝えます。キロポストは、路肩に100mおきに設置されている、起点からの距離を示す小さな標識です。例えば「東名高速 下り 55.5キロポスト付近」のように伝えます。
- 車種と色、ナンバー:救援車両があなたの車を特定しやすくするために伝えます。
- 故障の状況:できるだけ具体的に伝えます。「エンジンがかからない」「タイヤがパンクした」「オーバーヒートしたようだ」など、分かる範囲で構いません。
- 氏名と連絡先:あなた自身の名前と、折り返し連絡がつく携帯電話番号を伝えます。
- 同乗者の有無と安全確保の状況:「同乗者は2名で、全員ガードレールの外に避難済みです」といったように伝えると、相手も安心します。
特に「キロポスト」は、広大な高速道路上であなたの位置をピンポイントで特定するための生命線です。安全を確保した上で、必ずこの数字を確認してください。これらの情報をメモに書き出してから電話をかけると、慌てずに済みます。
さて、救援を依頼する際、多くの人が迷うのが「JAFに頼むべきか、保険のロードサービスを使うべきか」という点ではないでしょうか。
JAFと自動車保険のロードサービスの違い
「JAF」と「自動車保険付帯のロードサービス」、どちらも故障時に駆けつけてくれる心強い味方ですが、その性質には違いがあります。どちらを利用するのが最適か判断するために、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
以下に、両者の主な違いをまとめました。
| 項目 | JAF | 自動車保険のロードサービス |
|---|---|---|
| サービスの対象 | 「人」(会員)が対象。会員であればマイカー以外(友人・知人の車、レンタカーなど)でもサービスを受けられる。 | 「車」(契約車両)が対象。契約している車以外では利用できない。 |
| 作業員の質 | 専門の訓練を受けた専属隊員。幅広い車種や故障内容に対応できる高い技術力を持つことが多い。 | 提携先のレッカー業者や修理工場が対応。質は業者によってばらつきがある場合も。 |
| サービスの範囲 | 応急修理の範囲が広い傾向。部品代実費で様々な修理に対応してくれることが多い。 | 多くはバッテリー上がり、パンク時のスペアタイヤ交換、キー閉じ込みなど基本的な応急処置に限定されることが多い。 |
| レッカー搬送 | 会員は一定距離(例:15km)まで無料。超過分は有料。 | 保険会社やプランにより無料距離は様々(例:50km~無制限)。指定工場への搬送が条件の場合もある。 |
| 年会費 | 必要(個人会員:4,000円など) | 自動車保険料に含まれているため、別途の費用は不要。 |
簡単に言えば、JAFは「人」に付帯する会員制サービスで、どんな車に乗っていても使える汎用性の高さが魅力です。一方、保険のロードサービスは「契約車両」に限定されるものの、多くの場合、保険料に含まれており、特にレッカー搬送の無料距離が長いというメリットがあります。
私の場合、JAFと任意保険の両方に加入しています。状況に応じて使い分けることで、万が一の際の選択肢が広がり、精神的な安心感が全く違います。例えば、友人の車を運転している時のトラブルならJAF、自分の車で長距離のレッカー搬送が必要になりそうなら保険のロードサービス、といった具合です。ご自身のカーライフに合わせて最適な備えを検討してみてください。
救援を要請し、あとは待つだけ…ですが、この待ち時間にも注意すべき点があります。
救援を待っている間の注意点と二次災害の防止

ロードサービスに連絡がつき、救援を待つ間は、安堵と不安が入り混じった時間になるでしょう。しかし、ここで気を抜いてはいけません。救援隊が到着するまでの間も、二次災害を防ぐための注意を怠らないでください。
まず、繰り返しになりますが、絶対に車内に戻ったり、車の周りをうろついたりしてはいけません。ガードレールの外側の、できるだけ本線から離れた安全な場所で待機することが大原則です。
次に、夜間や視界が悪い場合は、スマートフォンのライトを点灯させたり、懐中電灯があればそれを使ったりして、自身の存在をアピールすることも有効です。ただし、その光を走行中の車に向けないように注意してください。ドライバーの幻惑を誘い、かえって危険です。
また、救援隊を名乗る不審な車が近づいてきても、安易に応じてはいけません。レッカー業者の中には、弱みにつけ込んで法外な料金を請求する悪質な業者も存在します。あなたが依頼したJAFや保険会社の提携業者であることを、車両のロゴや隊員の身分証明書などで必ず確認してください。不安な場合は、依頼したサービスの窓口に電話して、到着した業者が正規の業者かを確認するのも一つの手です。
救援を待つ時間は、決して「何もしない時間」ではなく、「安全を維持し続ける時間」だと認識してください。スマートフォンのバッテリーを温存しつつ、家族や会社に状況を報告し、救援隊からの連絡に備えましょう。
無事に救援隊が到着し、レッカー搬送されることになった場合、次に気になるのはその費用ではないでしょうか。
レッカー搬送にかかる費用と保険適用の有無
出典:JAF
故障した車を修理工場まで運ぶレッカーサービス。その費用は、一体どれくらいかかるのでしょうか。これは、JAF会員であるか、自動車保険のロードサービスが使えるか、そして搬送距離によって大きく変わってきます。
一般的に、ロードサービスを利用しない場合のレッカー費用は、「基本料金+作業料+走行距離に応じた料金」で計算されます。距離にもよりますが、数万円から十数万円になることも珍しくありません。突然の出費としては非常に痛い金額です。
しかし、JAF会員や自動車保険のロードサービスに加入していれば、この負担を大幅に軽減できます。
* JAF会員の場合:多くの場合、15kmまでのレッカー搬送は無料です。それ以上の距離は、1kmあたり数百円程度の追加料金がかかります。
* 自動車保険のロードサービスの場合:保険会社や契約プランによって大きく異なりますが、50kmまで無料、100kmまで無料、あるいは距離無制限で無料といった手厚い補償を用意しているところも多くあります。ただし、「保険会社指定の修理工場まで」といった条件が付く場合もあるので、事前に契約内容を確認しておくことが重要です。
レッカーを依頼する際には、必ず「どこまでが無料で、どこからが有料になるのか」を明確に確認しましょう。「〇〇kmまで無料です」と言われたら、搬送先の修理工場までの距離を地図アプリなどでおおよそ把握し、自己負担が発生するかどうかを見積もっておくと安心です。後から高額な請求書を見て驚く、といった事態を避けることができます。
ここまで、万が一故障してしまった際の対処法を解説してきましたが、最後に最も重要なことをお伝えします。
故障を未然に防ぐための出発前点検項目
これまでお話ししてきたことは、すべて「故障が起きてしまった後」の対処法です。しかし、ドライバーとして最も理想的なのは、そもそも故障を起こさないことです。車のトラブルの多くは、日頃の基本的なメンテナンスや、出発前の簡単なチェックで防げる可能性があります。
特に、高速道路を使った長距離移動の前には、必ず以下の項目をチェックする習慣をつけてください。専門的な知識は不要で、誰でも数分でできることばかりです。
- タイヤ:空気圧は適正か。溝は十分に残っているか(スリップサインが出ていないか)。亀裂やひび割れはないか。高速走行中のタイヤバーストは、即座にコントロールを失う大事故に繋がります。
- エンジンオイル:オイルレベルゲージで量と汚れを確認します。オイルはエンジンの血液です。不足や劣化はオーバーヒートやエンジンの焼き付きの原因となります。
- 冷却水(クーラント):リザーバータンクの液量が規定の範囲内にあるかを確認します。冷却水不足は、オーバーヒートの最も一般的な原因です。
- ライト類:ヘッドライト、ブレーキランプ、ウインカーなどが全て正常に点灯するか確認します。他の車とのコミュニケーション手段であり、夜間走行の安全に不可欠です。
- バッテリー:近年、ロードサービスの出動理由で最も多いのがバッテリー上がりです。エンジンのかかりが悪い、パワーウィンドウの動きが遅いなどの兆候があれば、早めに点検・交換しましょう。
これらの日常点検は、愛車との対話のようなものです。手間を惜しまず、ほんの少し気にかけてあげるだけで、高速道路上での悪夢のようなトラブルを未然に防ぎ、あなたと大切な人の安全を守ることができるのです。モーターショーで海外を訪れた際、慣れない左ハンドル右側通行のレンタカーでも、私は必ずこれらの基本点検を行ってから走り出すようにしています。見知らぬ土地でのトラブルほど、心細いものはありませんからね。
まとめ
高速道路で車が故障した際は、まずハザードを点灯させ、安全な路肩へ移動します。後方に発炎筒と停止表示器材を設置後、二次災害を防ぐため必ずガードレールの外へ避難することが命を守る最優先事項です。救援は非常電話や携帯電話(#9910)で現在地を正確に伝え、JAFや保険付帯のロードサービスに要請します。レッカー費用やサービス内容には違いがあるため、事前に確認しておくと安心です。何より、日頃の出発前点検が最大の予防策となります。この記事を参考に、万が一の事態に冷静に行動できるよう準備しておきましょう。
よくある質問
高速道路で故障したら、まず何をすればいいですか?
まずハザードランプを点灯させて後続車に異常を知らせ、次に安全な路肩や非常駐車帯へ車を移動させてください。
停止表示器材(三角表示板)はどこに置けばいいですか?
故障した車から50m以上後方(推奨は100m程度)の、後続車から見やすい位置に設置します。これは法律で定められた義務です。
なぜ車の中にいてはいけないのですか?
停車中の車は後続車から追突される危険性が非常に高いためです。時速100kmで追突された場合、車内にいると命の危険があります。必ずガードレールの外へ避難してください。
非常電話と携帯電話、どちらで連絡すべきですか?
どちらでも可能ですが、非常電話は受話器を上げるだけで繋がり、現在地が自動で伝わるため非常に確実です。携帯が圏外の場合や場所が不明な場合に特に有効です。
JAFと自動車保険のロードサービス、どちらを呼ぶべきですか?
JAFは「人」に付帯し、どの車でも利用可能です。保険のロードサービスは「契約車両」が対象ですが、レッカー無料距離が長いなど手厚い場合があります。ご自身の状況や契約内容に応じて使い分けるのが最適です。
レッカー代はどれくらいかかりますか?
ロードサービスに加入していない場合、数万円以上かかることもあります。JAFや自動車保険のロードサービスなら、一定の距離まで無料になることがほとんどです。依頼時に無料範囲を必ず確認しましょう。
トンネルの中で動けなくなったらどうすればいいですか?
トンネル内は非常に危険です。可能な限り走行を続け、トンネルを抜け出すか、約200mおきに設置されている非常駐車帯まで移動することを最優先してください。移動後は非常電話で通報するのが確実です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。高速道路上での故障は、誰にとっても突然訪れる緊急事態です。しかし、落ち着いて手順を踏めば、自分と同乗者の命を守り、二次災害を防ぐことができます。私自身、現場や取材を通じて「知っていたかどうか」で結果が大きく変わった事例を何度も目にしてきました。だからこそ、日頃から出発前点検を怠らず、万一の際の行動を頭に入れておくことが何より大切です。この記事が、あなたの安心なカーライフに役立ち、いざという時の心強い備えとなれば幸いです。機会があれば、大雨や雪道など悪天候時の高速道路トラブル対応についても触れてみたいと思います。



